異形のステルス艦「ズムウォルト」ようやく使いものに?「1発=1億円砲」を捨てて装備する新兵器とは

アメリカ海軍が誇る巨大ステルス駆逐艦「ズムウォルト」に新兵器を搭載する工事が始まります。ただ、改修のために2年間も使用不能になるとか。加えて搭載する新兵器も使いものになるかは未知数のようです。

最大のウリだった主砲はタマなくて使えず

 今回の改修では4つの発射管を追加するために、これまで搭載していた「ズムウォルト」の主砲である2基の155mmAGS(先進砲システム)を撤去することになります。AGSはズムウォルト級にとって艦のコンセプトを象徴する装備品でした。

 そもそもズムウォルト級は非常に特徴的な外見をしています。その理由は極端なステルス性を追求したからでした。少ない平面で構成された船体は、フネというよりも建物のような印象がありますが、これによってこの艦のレーダー反射断面積はアーレイ・バーグ級の50分の1にまで低減されていると言われています。

Large 20230925 01
ミサイルの発射試験を行う「ズムウォルト」。本艦ではミサイル発射管としてMk.57 VLSが船体の外側を包み込むように配置されている(画像:アメリカ海軍)。

 ズムウォルト級の開発コンセプトのひとつは、この敵に見つかりにくいステルス性を生かして敵地の沿岸部に近づき、そこから陸上への火力支援を行うことでした。155mmAGSは、その攻撃の際に主力となるべき兵器だったのです。

 砲弾にはGPSと慣性航法装置による誘導とロケット補助推進を採用した専用の LRLAP(長射程対地攻撃砲弾)が開発され、この砲弾を使った場合の最大射程は約154kmにもなる計画でした。なお、155mmAGSの砲塔内部は完全に自動化されており、毎分で10発のレートで射撃が可能でした。

 しかし、政治的駆け引きの結果、ズムウォルト級は建造数が削減されます。それによって、この専用砲弾の調達コストが1発あたり80万~100万ドル(約1億1000万~1億4000万円)まで高騰してしまいます。当初の見積もりは1発約510万円程度になる見込みでしたが、ここまで高騰すると、より高性能な巡航ミサイルと同じくらいの金額であり、コスパ(費用対効果)を考慮すると、とうぜん後者を調達すべきとなるのは明らかでした。

 あまりにも高い金額と、ズムウォルト級が3隻しか建造されなかった現状から、アメリカ海軍はLRLAPの調達中止を決定。つまり、ズムウォルト級に搭載された2門の主砲は使うことができない張り子の虎となってしまったのです。

【ロシア関連でいまや禁句!?】「ズムウォルト」の船尾に描かれた巨大な“アレ” (写真)

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. 737MAXの機種変更もiPadだったしね、ボーイング

記事ランキング

  1. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  2. 「USB挿しっぱ」でクルマが“故障”する? 三菱公式の投稿にSNS騒然 「一体ナゼ?」「これマジで起きるよ」
  3. 「断固たる措置を講じる」首都高公式ブチギレ! 「公平性を著しく損なう」非常識ドライバーに“鉄槌”…一体何が?
  4. 神奈川県警の“バイクは自転車レーン走るな”投稿にツッコミ殺到! 「自転車にも車にもバイクにも迷惑です」…何が問題に?
  5. 海自潜水艦 アメリカ海軍の“歴戦の揚陸艦”を標的に魚雷発射! 実弾演習で巨大な水柱があがる瞬間を公開
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開