「高性能なヤツ作ってね、金かけずに」で生まれた最後の艦上攻撃機「コルセアII」米空軍も採用の名機に

F-16に比肩? 超音速飛行が可能になった最終モデル

 YA-7Fは、搭載エンジンをF-15「イーグル」やF-16「ファイティングファルコン」と同じアフターバーナー付きのF100ターボファンに換装しており、さらに主翼付け根には小型ストレーキを設けることで飛行特性の改善も図っていました。その結果、YA-7Fは超音速飛行が可能なまでに性能向上を果たします。

 同機は2機が作られF-16と比較評価が行われましたが、次世代戦術戦闘機として採用されたのはF-16でした。ちなみに、この結果には、YA-7Fという競合機を登場させることでF-16の大幅値引きをメーカーに飲ませようと空軍当局が画策したという指摘もあるとか。

 ただ、F-16と張り合えるまでにA-7「コルセアII」が進化できたのも事実です。なお、このYA-7Fは「コルセアII」シリーズの最終モデルで、1機がカリフォルニア州エドワーズ空軍基地、もう1機がユタ州ヒル空軍基地、ともに基地内にある博物館で展示されています。

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1983年5月22日、フェアチャイルド空軍基地で撮影したA-7E攻撃機(細谷泰正撮影)。

 アメリカ海軍では、1991年の湾岸戦争を最後に後任のF/A-18「ホーネット」と交代する形でA-7「コルセアII」は第一線から退きましたが、同空軍では1993年まで州兵航空隊で運用され続けました。

 なお、1970年代から80年代にかけては、横須賀を事実上の母港とするアメリカ空母の艦載機として厚木飛行場にも駐留していたので、A-7「コルセアII」は日本でも比較的目にするなじみ深い機体でした。

【了】

【間違い探し?】1機だけ違うモデル。A-7の中に紛れたRF-8を探せ!(写真)

Writer: 細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)

航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事

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