「戦車を撃破したぞ」→実は風船でした!? 今もみんな引っかかる「ダミー兵器」のすごさ 騙し合い進化!

2023年9月下旬、ロシア軍の第45独立偽装工兵連隊が再びウクライナの戦場に姿を現しました。この部隊はバルーン戦車で敵を欺くことで知られていますが、今でもこうした欺瞞工作は有効なのでしょうか。

ドローン攻撃の増加でさらに必要に?

 一方イギリス軍も同じく、ハリボテなどを用いた欺瞞作戦を同戦線で展開しました。特に大規模だったものとして知られるのが、1942年10月から開始された「第2次エル・アラメインの戦い」です。

 このときイギリス軍のモントゴメリー大将は、枢軸軍を北側から攻撃することを計画していましたが、南側から攻撃すると見せかけるために、北側に集めた戦車をトラックに偽装。対して南側にはハリボテ戦車のほかに、偽のパイプライン、偽の線路、偽の燃料や水を貯蔵する施設を設置したほか、さらには偽の建築音まで出して偽装しました。

 さらに、こうした方法は、1944年6月6日に実施されたノルマンディー上陸作戦の偽装工作でも使われました。イギリスはじめ連合軍は、大規模な戦車部隊や車両群をハリボテで作り、イギリス南部へ展開、上陸目標はノルマンディーではなくパ・ド・カレーだとドイツ軍に思い込ませたのです。

 戦後、高性能なレンズやカメラなど光学機器が発展しても、一瞬でその目標が本物か判断することは困難な場合が多く、1998年2月から翌年の6月まで行われたコソボ紛争において、アメリカを中心としたNATO諸国の空爆に対してユーゴスラビア軍が、大量のダミー戦車を投入し対抗しました。こうしたダミー兵器の目的は、わざと目立つところに置き、高価なミサイルや爆弾を無駄に使わせるのが役目となっています。

Large 20231004 01
北アフリカ戦線で使われたトラックに板をかぶせたダミー戦車(画像:帝国戦争博物館)。

 今回のウクライナ侵攻でも、ロシア、ウクライナ両陣営がダミー兵器を用いています。ロシアがT-72やS-300地対空ミサイルを模したバルーンでかく乱すれば、ウクライナ側も高機動ロケット砲システム(HIMARS)や、M1「エイブラムス」を模したバルーンで対抗するといった状態です。ドローン技術の発展により自爆ドローンの攻撃が多くなっていますが、バルーン戦車などはこの攻撃にかなり有効です。

 熟練のオペレーターではないと、モニター越しの攻撃対象が本物かどうか判断することは困難といわれ、むしろ現代においてダミー兵器が必要なケースは過去よりも増えるという状態になっています。

 しかも、ただのダミーではなく、バルーンの中でヒーターを入れることで、エンジンが動いていると勘違いさせたり、発信専用の小型レーダー装置を用いて、本物のレーダー装置が発するような信号を出して錯覚させるような装備も使われているケースもあり、騙し合いも進化しているようです。

【了】

【え…かなりのクオリティー】これが80年前のダミー戦車です。(写真)

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  3. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  4. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  5. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス