灰色の「つばめ」実は赤色だったかも!? 特急787系“幻の案”JR九州OBが語る 今も車内に名残アリ
なぜ車体はグレーになったのか
――「つばめ」は列車名としては、戦前の超特急に遡れる最高の格ですね。
はい。その当時、JR6社の宣伝会議で、東海道新幹線の新しい列車名は「のぞみ」となり、「つばめ」は使えそうだという流れがありました。そうしたこともあり、JR九州の代表特急に「つばめ」は相応しいだろうとなったのです。
――列車名が「つばめ」となったことで、変わった部分はあるのですか?
外観塗装が変わりました。水戸岡先生は当初「黒」を主張されたのですが、視認性の関係で踏切などでの安全性が低いということになり、グレーとなったのです(筆者注:「リレーつばめ」の改装で黒味が増し、「36ぷらす3」では水戸岡氏が当初想定していた黒となっている)。
よい列車にしたいという思いはありましたから、車内のトイレの一部でウォシュレットをつけられないかなど、こちらでも調べ、試行錯誤しました。
「つばめ」の運行開始日に、NHKの全国ニュースで「17年ぶりにつばめ復活」として大きく取り上げられ、「つばめ」にしてよかったと感じたものです。その後も「つばめ」に相応しい車両だと、好意的な反応を数多く頂き、嬉しく感じました。
――貴重なお話、ありがとうございました。
※ ※ ※
登場から27年後の2019年、787系は全車グリーン車の観光列車「36ぷらす3」用として6両が改造されました。観光列車ということでビュッフェが復活し、豪華なフリースペース「マルチカー」も設置されています。
【了】
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
コメント