戦艦「大和」vs海上自衛隊イージス艦 勝つのはどっち!? カギは交戦距離か
46cm砲の徹甲弾は逆に効果ないかも
この場合なら、「大和」は主砲だけでなく、副砲、高角砲も使用できますし、対応時間が短すぎるため、イージス艦が誇る優れた戦闘システムで砲弾を迎撃することも困難でしょう。
とはいえ、射撃システムの性質を考えると、戦艦「大和」が海上自衛隊イージス艦を認識・測距して発砲するまでに数分かかる可能性があるため、大砲を向けられて危険を感じたイージス艦が距離を開けるでしょう。現実的に考えるなら、日本国旗や自衛艦旗(旭日旗)を振ったり、一時的に白旗を掲げたりして交戦の意思がないことを見せるでしょうが……。ここも人的要因を無視して戦闘させるなら、イージス艦側は「大和」より早く戦闘準備を整え、先制発砲が可能です。
撃ち合いになった場合、イージス艦の127mm主砲やミサイルは「大和」にほぼ命中し、装甲は貫通しないものの、艦上構造物はかなりのダメージを受けると考えられます。
重装甲により「大和」が致命傷を免れ、イージス艦を砲撃した場合ですが、この近距離なら命中するでしょう。イージス艦に装甲はないので、「大和」の砲弾の当たりどころによっては、ミサイルが誘爆して轟沈ということもあり得ます。ただ、イージス艦に装甲がないことで、主砲・副砲の徹甲弾は信管が作動せず、突き抜けてしまって、損害が小さく済む可能性も考えられるでしょう。
むしろ主砲徹甲弾ではなく、発射速度の早い高角砲(高射砲)弾が多数命中する方が、上部構造物が破壊され、命中時に火災を誘発するなどして、イージス艦には脅威かもしれません。
第2次世界大戦では最強の水上戦闘艦であった戦艦「大和」ですが、普通の条件設定では、さすがに70年以上未来の兵器に勝利するのは難しいといえそうです。
【了】
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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