ハイエースにも戦闘機にもついている! 表面の「謎のトゲトゲ」何なのか 新幹線にもついてるぞ!
飛行機の主翼には、ワザと気流の渦を発生させる「ボルテックジェネレーター」なる装置があります。これがあることで逆に安定性が高まるそうですが、どのような働きなのでしょうか。同じものは自動車や鉄道にも見られるそうです。
「渦」作った方が姿勢安定、なぜ?
自動車でも飛行機でも、空気抵抗を減らすため、表面を滑らかに整形するのが基本です。ところが、「ハイエース」をはじめ多くのトヨタ車では、その外装の一部にトゲのような突起物が見られます。
飛行機では、大事な揚力を発生させる翼の表面にトゲのような突起物が見られますが、これもハイエースなどの突起と同じ役割を持っています。一体なぜ、こんなものがついているのでしょうか。
このトゲトゲは「ボルテックスジェネレーター」という空力デバイスです。直訳すると「渦発生器」いう呼び名になるこの装置、その名のとおり突起によって空気の渦を発生させます。
飛行する翼の表面を流れる空気の層は、はじめは翼に沿って流れていきますが、後ろに行くに従って徐々に表面からはがれ、不安定に乱れていきます。気流が完全にはがれてしまうと、翼は揚力を生み出せません。
ボルテックスジェネレーターは意図的に小さな渦を発生させることで、不安定で大きな気流の乱れを抑え、結果として気流を翼の表面に沿うようにしてスムーズに後方へと流す効果があります。制御不能な乱気流となる前に、整った渦で予防しているといえるでしょう。
例としてAV-8B「ハリアーII」垂直離着陸機では、高速で飛行する際に主翼で衝撃波が発生し、気流が表面からはがれてしまうのを防止するため、主翼の前寄りにボルテックスジェネレーターを設置しています。日本生まれの国産旅客機YS-11でも昇降舵にスムーズな気流を当てるため、水平尾翼に設置されていました。
気流の乱れは、形状が変化するところで発生しやすくなります。旅客機や輸送機など、主翼にエンジンを吊り下げる構造の場合、エンジンナセル周辺の気流が乱れやすくなるため、ボルテックスジェネレーターを設置し、スムーズな気流を主翼の上下に導いている例もあります。
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