古すぎる? 「F-5戦闘機」まだ使う国/引退進む国の事情 パイロットが乗りたがらない?

台湾以外では生き続けているF-5E/F

 数か月以内に台湾空軍からは姿を消すF-5E/Fですが、いくつかの国では近代化改修を施して第一線での運用を続けています。

 チリ空軍の近代化改修型「タイガーIII」は、多機能ディスプレイを使用するグラスコクピット化を施し、パイロットが操縦桿やスロットルレバーから手を離さずに、レーダー操作や兵装の発射などを行える操縦装置「HOTAS(Hands On Throttle and Stick)」を導入したほか、機首部に2門装備している20mm機関砲のうち1門を撤去して、イスラエル製のEL/M-2032レーダーを搭載しています。

 これによりタイガーIIIは、航空自衛隊のF-15J/DJの前期生産型(Pre-MSIP機)にもない、アクティブ・レーダー誘導ミサイルの運用能力を獲得しました。発射後にミサイルを戦闘機からレーダー波で誘導する必要のない、いわゆる「撃ちっぱなし」ができる能力です。

 ブラジル空軍のF-5EM/FMもタイガーIIIと同様に高性能なレーダーへの換装やグラスコクピット化、HOTASの導入、アクティブ・レーダー誘導ミサイルの運用能力が追加されているほか、レーザー誘導爆弾の運用能力も追加されています。

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ブラジル空軍のF-5EM(画像:ブラジル空軍)。

 タイ空軍はタイガーIIIと同じくイスラエル企業の協力を得て近代化改修されたF-5E/FのF-5Tと、F-5Tにさらなる近代化改修を加えたF-5THFを運用しています。タイガーIIIと異なりアクティブ・レーダー誘導ミサイルの運用能力は備えていないものの、それ以外はタイガーIIIに準じた仕様となっています。

 他方、F-5TTHは発射後に目標をロックオンする機能を備えたイスラエル製の短射程空対空ミサイル「ダービー」の運用能力やデータリンク機能が追加されており、タイ空軍は2030年代までF-5TH/THFを運用する方針を示しています。

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