史上最大の戦艦「大和」世界最速になった可能性も “幻のプラン”いろいろ 未完に終わった“造船の神様” 案

旧日本海軍の大和型戦艦は「質でアメリカの数を圧倒する」目的で建造された艦型であり、その計画案は多岐に渡ります。ここでは大和型の計画案でもユニークなものを取り上げ、実際に建造されたらどうなったのかを考察します。

高速性にこだわったワケ

 なぜ、ここまで足の速さにこだわったのか。それは当時、艦隊決戦では制空権の確保が必要だと考えられていたからです。そのため、空母を中心とするアメリカ偵察艦隊を先んじて撃破する必要がありました。そこで、旧海軍は高速戦艦2隻と空母4隻を中心とする機動部隊を4組編成し、偵察艦隊に差し向けようと考えたからだといわれています。

 この流れで新型戦艦には「超」が付くほどの高速性が必須とされ、既存の長門型戦艦も機関換装で高速化する計画が立てられます。空母と組んだ高速戦艦は前方に進出、敵空母発見後は全速力で接近し、砲撃戦を挑むことが想定されていました。

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33ノットを狙う、46cm砲高速戦艦。実現できるなら最強だが……。(イラストレーター:ハムシマ)。

 当時の艦載機は速力が遅く、かつ攻撃半径も100浬(185km)程度で大きな爆弾や魚雷は積めません。加えて空母は、発進させた艦載機が帰還できなくなるため、発艦後も当該海域から大きく転進できないという弱点を有していました。

 戦艦の主砲は20浬(約37km)程度は届きますから、2時間半くらい全速力で敵空母に迫れば、主砲の射程圏内に捉えることが可能です。アメリカ艦隊としても、高速で接近してくる日本戦艦を中心とする水上打撃艦と、その後方にいる空母のどちらを攻撃するのか判断に迷うので有利です。

 実際、日米が激突した太平洋戦争においても、ガダルカナル島の攻防戦やマリアナ沖海戦での空母戦では、日本側は戦艦を含む艦隊前衛にこのような役割を与え、空母機動部隊に先行させていました。

 実現できたかは疑問ですが、もし江崎の高速戦艦が建造されたなら、太平洋戦争でも機動部隊護衛艦として空母の護衛に就いたり、飛行場砲撃のためにガダルカナル島沖合へ突入、敵艦隊と夜戦を行ったりするなど、史実で多大な活躍を見せた金剛型と同じ使われ方をしたのではないでしょうか。ひょっとしたら、自慢の46cm砲でアメリカ戦艦を撃沈したかもしれません。

【ぶ厚っ!】アメリカに現存、戦艦「大和」の装甲板(写真)

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