史上最大の戦艦「大和」世界最速になった可能性も “幻のプラン”いろいろ 未完に終わった“造船の神様” 案

旧日本海軍の大和型戦艦は「質でアメリカの数を圧倒する」目的で建造された艦型であり、その計画案は多岐に渡ります。ここでは大和型の計画案でもユニークなものを取り上げ、実際に建造されたらどうなったのかを考察します。

「造船の神様」再降臨!

 この新型戦艦への高速性付与は、1935(昭和10)年に検討された計画案番号「A-140」(31ノット/約57.4km/h)と「A-140A」(30ノット/約55.6km/h)の両案に受け継がれています。どちらも46cm砲9門を前甲板に集中配置する内容でした。ただ、「A-140」案では全長294mになるなど、艦型が過大だとして、このプランは採用されることなく終わっています。

 なお、当初は高速の大和型、高速化された長門型各2隻と金剛型4隻の計8隻が高速戦艦となる予定でした。長門型の高速化中止後でも、新型高速戦艦4隻、金剛型4隻の第二艦隊と、長門型、扶桑型、伊勢型の第一艦隊になる計画でした。それが方針転換で、金剛型のみが高速化され、新戦艦(後の大和型)は27ノット(約50km/h)前後で検討されます。

 方向転換の要因の一つは、1934(昭和9)年の艦艇転覆事故で藤本が失脚したことです。その結果、海軍を退役し、三菱造船(現在の三菱重工)の技術顧問となっていた平賀譲元技術中将が新型戦艦の設計に参加し、影響力を発揮します。

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実際の大和型戦艦は46cm三連装砲塔3基9門、うち2基6門を船体前部に、1基3門を後部に分散配置した(画像:アメリカ海軍)。

 平賀は、コンパクトながら高い戦闘力を持つ軽巡洋艦「夕張」を設計するなど、「造船の神様」として知られた人物でした。彼は1931(昭和6)年3月に予備役となったため、このときすでに民間人でしたが、「A-140I案」で独自の設計プランを示します。

 この案は、公試排水量6万5050トン、全長268m、全幅38.9m、46cm連装砲塔2基、三連装砲塔2基の計10門、15.5cm四連装副砲塔2基8門、12.7cm連装高角砲(高射砲)8基16門、14万3000馬力で28ノット(約51.8km/h)という内容でした。

 他の計画案が、46cm砲の場合は多くが三連装3基9門という内容だったのに対して、平賀案(A-140I案)は10門。副砲は他の計画案では15.5cm三連装砲なのに対して、四連装砲塔。高角砲も、他の計画案が全て6基12門なのに対して、平賀案のみ8基16門でした。

【ぶ厚っ!】アメリカに現存、戦艦「大和」の装甲板(写真)

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