史上最大の戦艦「大和」世界最速になった可能性も “幻のプラン”いろいろ 未完に終わった“造船の神様” 案

旧日本海軍の大和型戦艦は「質でアメリカの数を圧倒する」目的で建造された艦型であり、その計画案は多岐に渡ります。ここでは大和型の計画案でもユニークなものを取り上げ、実際に建造されたらどうなったのかを考察します。

大和型戦艦、建造遅延で就役しなかったかも

 なお、I案に排水量が近いのは、史実の大和型をタービン機関ではなく、タービン+ディーゼル機関とした「A-140F5」案と呼ばれるプランです。

 ただ、この設計案では、公試排水量6万5200トン、全長253m、全幅38.9m、46cm三連装砲塔3基9門、15.5cm三連装副砲塔4基12門、12.7cm連装高角砲6基12門、13万5000馬力で27ノット(約50km/h)という内容だったので、平賀案(A-140I案)がいかに重武装かつ快速なのか、その特異性がわかるでしょう。

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平賀造船官は二連装砲塔と三連装砲塔を組み合わせた、主砲10門艦にこだわりを持っていた。(イラストレーター:ハムシマ)。

 I案が建造されたら、主砲10門は偶数で交互に射撃することが可能で、射法上有利。四連装副砲塔も、火力を維持しつつ、対空砲の搭載スペース確保という意味で合理的です(砲塔の動作が遅くなる可能性はありますが)。対空用の高角砲が多いのも、その後、太平洋戦争で航空機が飛躍的に発達し、空母が海戦の主役に躍り出たことを鑑みると合致していたのではないでしょうか。

 ただし、2種類の砲塔製造も、最上型から流用できない副砲も建造を遅延させ、史実の時期に完成しなかった恐れがあります。

 ひょっとしたら、別の姿で生まれていたかもしれない大和型戦艦。もし、船体前部に主砲塔を集中配置する設計案が採用されていたら、『宇宙戦艦ヤマト』の姿も全く違うものになっていたかもしれません。

【了】

【ぶ厚っ!】アメリカに現存、戦艦「大和」の装甲板(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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