ドイツ製より「韓国製」装甲車 豪州が3500億円の大型契約 重くて遅い“キャタピラ式”なぜいま必要?

見直される重くて遅い「装軌式」 それが意味すること

 AS21などの歩兵戦闘車は、装甲兵員輸送車のように歩兵を運ぶばかりではなく、搭載する強力な火砲やミサイルにより、積極的な戦闘参加を前提としている装甲車です。装甲車には無限軌道(キャタピラ)によって走行する装軌式装甲車と、96式装輪装甲車のように、タイヤの付いた車輪で走行する装輪式装甲車がありますが、AS21は前者にあたります。

 歩兵戦闘車は基本的に戦車と行動を共にする装甲車のため、戦車と同じ装軌式装甲車であることが多いのですが、先進諸国の軍隊は対テロ戦などのいわゆる「非正規戦」が増加して以降、装輪式装甲車の整備に力を注いでいます。武装集団やテロリストなどが相手であれば十分な防御力を持ち、かつ機動性に優れる装輪式が重視され、歩兵戦闘車のような装軌式装甲車の整備は後回しにされる傾向が強くなっていました。

 しかし、2020年代に入って、装軌式装甲車を整備する国が増えつつあります。

 装軌式装甲車は装輪式と比べて重量の増加を余儀なくされますが、装甲防御力の強化がしやすく、また重量の嵩む大口径の砲や砲塔などを搭載しやすいという長所もあります。AS21はもちろんのこと、ハンガリーが導入したリンクスKF41や、チェコとスロバキアが導入した「CV90Mk.IV」などの新型歩兵戦闘車は、搭載する砲の攻撃力では及ばないものの、装甲防御力では戦後第2世代戦車に分類されるドイツのレオパルト1などをしのぐとも言われています。

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「ユーロサトリ2022」で展示されたAS21「レッドバック」(竹内 修撮影)。

 こうした装甲防御力に優れた歩兵戦闘車を整備する国が増えている背景には、中国やロシアなどの脅威が高まり、国家対国家の「正規戦」が起こる可能性が高まったからなのではないかと筆者は思います。

【了】

【メカ感はスゲエ!】韓国の装甲車にコンペで敗けた「ドイツ製装甲車」(写真)

Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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コメント

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1件のコメント

  1. 安心と信頼のドイツ製より変に盛って値段も安くない韓国の提案を選ぶなんて、豪州は潜水艇といいこれといい兵器の調達で迷走してるなぁ…
    自国生産にこだわりすぎている気がする