国を守った「伝説の戦闘機」が“チェコ製”って? メッサーシュミットそっくり珍機 イスラエルが重用したワケ
性能劣悪、でも功績バツグンなぜ?
イスラエルはチェコスロバキアから25機を購入、実際には23機が引き渡されました。
同国に到着したS-199は、同空軍初の戦闘機部隊である第101中隊に配備されます。そして第一次中東戦争では、貴重な航空戦力として、侵攻してくるエジプト空軍機などの迎撃にあたりました。
イスラエル空軍将兵にとってもS-199は、かなり扱いの難しい機体だったようです。そのため、イギリス製の「スピットファイア」やアメリカ製のP-51「マスタング」といった中古戦闘機が手に入るようになると急速に更新されていき、1949年初旬には早くも第一線から引き揚げられています。
とはいえ、建国初期の戦いでS-199が果たした役割は大きく、他の戦闘機が手に入らない中で、戦争に間に合って、母国の空を守った功績は大きいと言えるでしょう。ある意味で、イスラエル空軍の創成期を支えたと言い換えることができるほどの大きな存在意義を持つ機体なのです。
イスラエル空軍将兵からもあまりよい評判が出なかったアヴィアS-199ですが、その功績の大きさゆえに、2023年現在も1機がイスラエル航空博物館に保存・展示されています。
【了】
Writer: 白石 光(戦史研究家)
東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。
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