「いきなり最高速度120キロ化」判断から1年 東北道の首都圏区間どう変化 事故はむしろ減少?【独自】
東北道はなぜ「いきなり120キロ化」されたのか
2023年12月現在で最高速度が引き上げられたのは、実証実験から続く新東名(静岡)、東北道(岩手)のほか、新たに対象となった東北道(首都圏)、常磐道(茨城)、東関東道(千葉)の5区間があります。新東名の静岡県内は実証実験を経て、6車線化の完成とともに120km/h規制の対象範囲を拡大。東関東道の千葉県内区間は110km/h化から半年後に120km/hとなりました。常磐道の茨城県内区間は現段階で110km/hです。
この5つのなかで、既存の構造のまま「いきなり120km/h化」された唯一の例が、東北道の首都圏区間でした。理由について埼玉県警は次のように話します。
「新東名と東北道(岩手)で110km/hから120km/hに引き上げ、問題はないと判断され、同じような環境で引き上げを実施することになった経緯があります。安全であることが示されているからには、110km/hから始めることの説明がつかないという意見があり、3県警で協議のうえ、120km/hでスタートしました」
新東名は、実証実験以前から実勢速度で120km/hを超えていたというデータがあります。道路としての設計速度は140km/hを担保した余裕のある構造の新東名は、いま実際に走ってみても、ACC(オート・クルーズ・コントロール)を120km/hに設定して走っているクルマが多いと感じるほどです。
対して東北道、特に埼玉県内の区間は6車線とはいえ交通量も多く、しばしば渋滞もするため、実際に120km/hを出しているクルマは多くないということが見えてきます。これは4車線区間である東北道の岩手県内でも同様で、岩手県警は以前の取材時、「最高速度が120km/hだからといって、120km/hで走ろうと速度を上げるような動きは見られない」と話していました。
120km/hで走れるとなれば、所要時間をそのスピードで計算できるのですから、数値上の速達化の影響は小さくないかもしれません。しかし、実際に速達化するかどうかは、道路構造や交通状況によりけりであって、最高速度の引き上げはそれほど関係ないともいえそうです。
一方で現在、物流を効率化する観点から、80km/hのまま据え置きになっている大型車の最高速度を引き上げる方針を警察庁が固めています。これには、普通車などよりも、スピードに起因する重大事故が増えるのではないかといった声もありますが、引き上げが実施された場合にどのような結果を生むのか注目されます。
【了】
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