「オスプレイ」は欠陥機なのか? 生産終了報道の真相 “ポスト・オスプレイ”まもなく出るぞ!

海外への輸出が伸び悩んだ要因

 またV-22「オスプレイ」は、もともと海外への輸出を進めることにより、その単価を低減することが可能と考えられてきましたが、実際には日本の陸上自衛隊が17機を導入しただけで不振に終わりました。

 では、こちらの理由は、日本で報じられているように「事故や不具合の多発」に起因するのでしょうか。その関連性は極めて低いと、筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は考えます。

 そもそもV-22の最大の特徴は、ヘリコプターと固定翼機の両方の特性を併せ持つことにより、限られた発着スペースしかない洋上の艦艇などからでも運用が可能でありながら、長大な距離を飛行し、飛行場以外の場所にも着陸できるという点です。しかし、実際そのようなニーズは極めて特異なものです。

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アメリカ海軍向けとして導入が始まったばかりのCMV-22(画像:アメリカ海軍)。

 通常であれば、長距離の移動はたくさんの兵員や物資を輸送できる固定翼の飛行機を使えば済みますし、飛行場以外の場所には、近くの拠点からヘリコプターを使えば降り立つことができます。

 結局、V-22が持つ最大の特徴は、艦艇などを使って海外に展開する能力が極めて高く、実際にその頻度も高いアメリカ軍においてのみ、最大限活かされるということになるのです。

 V-22は、ローターの角度を傾けることでヘリコプターと固定翼機の特徴を併せ持つ「ティルトローター機」という特殊な機構ゆえに、通常の航空機と比較して維持や整備にコストを要する、との指摘もあります。それを踏まえると、アメリカ以外の国がV-22を十分に運用できるかといえば、実際には困難だったという事情もあるでしょう。

 日本では、陸上自衛隊をはじめ民間企業などもアメリカに準じた体制が採れたため、滞りなく運用できているようですが、維持整備が大変という声は聞こえます。ということは、日本ほど航空機運用のノウハウがなく、アメリカを頼れない国ではV-22「オスプレイ」を運用するのは厳しいといえそうです。

【乗ってみた!!】これがV-22「オスプレイ」の操縦席&機内です(写真)

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