世界で最もホット? 中国エアショーで“勢い”実感! 欧米も続々進出「空の民主化」に熱い視線
日本の高度成長期と一緒かも……
LSA以外に目を転じてみると、今回展示された小型機の中には双発機もありました。Y-12双発軽輸送機は、旧式化していたレシプロエンジンのY-11をベースに近代化してターボプロップエンジンに換装した発展型です。カナダ製のターボプロップエンジンPT-6の双発で、機体の規模はカナダ製の双発小型機DHC-6「ツインオッター」に相当します。
Y-12は1984年に初飛行したのち、中国における型式認証を取得。2016年にはFAAの型式認定を取得しましたが、このたびEASA(欧州航空安全機関)の型式認証も取得したとのこと。なお、会場では河南省政府が運用する気象観測仕様が展示されていました。
今回の珠海航空ショーでは軍用機の展示がなかったため、迫力に欠ける面もありましたが、民間機だけでも見どころ盛りだくさんでした。現地に行って筆者(細谷泰正:航空評論家/元AOPA JAPAN理事)は、中国製航空機が国際規格を満たすだけでなく、国内の小型機運航環境においても急速に整備が進んでいる印象を受けました。
かつて、埼玉県の自衛隊入間基地で国際航空宇宙ショーが行われていた1970年代。当時の日本では、民間機だけでも4人乗りの軽飛行機FA-200「アエロスバル」から双発ターボプロップ旅客機YS-11まで複数の航空機が生産されていました。
それから半世紀、今では日本と中国の状況が逆転したように感じます。日本の航空機市場が停滞している間に、世界は加速しながら前進しています。この現実を日本国民は真摯に直視する必要があるのではないでしょうか。
【了】
Writer: 細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)
航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事
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