自衛隊「オスプレイ」向けで導入 精鋭部隊用バギーが被災地へ出動 どう使う?

長崎県佐世保に所在の水陸機動団などで使用中。

川崎重工製の4輪バギーが原型

 京都市内にある陸上自衛隊 桂駐屯地は2024年1月11日、能登半島地震の被災地を支援するため、「汎用軽機動車」という小型4輪駆動車の輸送準備を、前日の10日に伊丹駐屯地(兵庫県伊丹市)で完了したと発表しました。

 汎用軽機動車は、川崎重工製の4輪バギー「MULE(ミュール)」を転用したものです。シートは前後に2つあり、乗員数は最大6名。後部シートを折り畳むことで荷室を広げることができます。また牽引能力は最大1tあるため、小型トレーラーなどを牽引することも可能です。

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能登半島地震の被災地で使うため、兵庫県の伊丹駐屯地で大型トラックに積み込まれる汎用軽機動車(画像:陸上自衛隊桂駐屯地)。

 ただ、MULEはもともとレジャ―や私有地内での各種軽作業を行える多用途4輪駆動車(ユーティリティ・ビークル)として開発され、北米メインで生産・販売されている車両のため、日本国内の公道走行を想定した作りになっていません。
 
 そのため、道路運送車両法に定められた保安基準に適合しておらず、そのままではナンバーを取得することが不可能であることから、陸上自衛隊の汎用軽機動車は、バックミラーやウインカー、リフレクター(反射板)などの保安部品を増設したうえで、自衛隊専用ナンバーを取り付けています。

 陸上自衛隊では、ティルトローター輸送機V-22「オスプレイ」の機内に積むことが可能な支援車両として少数を調達、試験運用を続けていました。V-22には、陸上自衛隊が従来保有していた車両ではオートバイ以外載せられるものがなく、迫撃砲や物資・弾薬の運搬などに用いるためには、コンパクトな4輪駆動車が必要と判断された結果、調達されたものです。
 
 路上走行性能や積載能力などでいえば、各種トラックの方が断然優れているものの、逆に車体が小さいことで、それらでは進入が困難な地域における人命救助や物資輸送などの支援を行うのに適していると判断されたそうです。

 陸上自衛隊 桂駐屯地では「あらゆる手段を尽くして被災者の皆様へ物資をお届けできるよう災害派遣活動を実施します」と明記していました。

【了】

【ハンドル周りや車体後部も】これが汎用軽機動車の原型「ミュール」の車内です

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