戦前から有名だった「ダイハツ」って? 世界に先駆けて日本で生み出された画期的な技術とは
“ダイハツ”といえば今は自動車メーカーの名前として知られていますが、戦前・戦中では日本陸軍の上陸用舟艇を指しました。戦車も運んだ“ダイハツ”、当時はとても画期的なものでした。
船首に隠された画期的な仕掛けとは?
“ダイハツ”といえば、主に軽自動車や小型車を主力している自動車メーカー「ダイハツ」を思い浮かべる人がほとんどだと思われます。しかし、戦前、戦中の日本では、別のものが“ダイハツ”の通称で呼ばれていました。それは、旧陸軍の上陸用舟艇である大発動艇、略して「大発(ダイハツ)」です。
同艇の大きな特徴となっているのが、艦首が海面や地面に向かって倒れる扉式になっている点です。海岸に直接乗り上げた際に、船首が城門の跳ね橋のような形で開き、それを即席の足場である歩板(ランプ)として使用することで、兵士が容易に上陸することができます。
2024年現在においては、上陸用舟艇には必ずといっていいほどついている機構で珍しくもありませんが、当時としては非常に画期的なものでした。日本陸軍では1930(昭和5)年からこの大発を使っていましたが、当初は船首の構造を軍事機密扱いにするほどでした。第二次世界大戦でアメリカ海軍が上陸用舟艇として利用したLCVP(Landing Craft Vehicle Personnel 通称:ヒギンズ・ボート)も同艇を参考にしたといわれています。
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