空自の輸送機から出てきた「消防車」フツーじゃなかった! 能登地震で真価発揮の“専用設計” 誕生は過去の教訓
能登半島地震の運用実績をフィードバックか?
総務省消防庁は東日本大震災の経験から、2013年に横浜、浜松、京都の各消防本部へ大規模震災用高度救助車を配備し、緊急消防援助隊に関する活動体制の充実強化を図りました。横浜市消防局はARを「機動震災救助車」として、ERを「能見台震災救助車」として配備しており、今回の能登半島地震では共にC-2輸送機で空輸され、現地入りしています。
「救助工作車IV型」や「大規模震災用高度救助車」は輸送機に積載できるため、島嶼部での災害でも迅速に人と救助資機材を送り込むことができます。ただ、能登半島地震では陸路の多くが土砂崩れや盛土の崩落などによって通れなくなり、2000m級の滑走路を持つ能登空港も閉鎖されました。
もともと険しい海岸線に囲まれ、山地がほとんどを占める能登半島は、県庁所在地である金沢市からも遠く、国道249号のような主要道路が寸断すると一気に「陸の孤島」となってしまいます。そのため、救助資機材や物資の輸送に必要な車両を入れることが難しく、被災地の救援を困難にしました。
阪神・淡路大震災と東日本大震災の教訓で生まれた救助車両が今、能登半島で活動しています。ただ、次の災害に備えて1人でも命を助けるため、どのような方法がベストなのか、今回の教訓を踏まえ、改めて考え直す時期が来ていると言えるでしょう。
「救助工作車IV型」や「大規模震災用高度救助車」も導入から10年以上経っているため、もしかしたら、今回の能登半島地震での運用を基に、より高性能な空輸対応型レスキュー車が開発されるかもしれません。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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