空自の輸送機から出てきた「消防車」フツーじゃなかった! 能登地震で真価発揮の“専用設計” 誕生は過去の教訓

「AR」と「ER」何の略?

 先に登場したのは「救助工作車IV型」です。この車両は阪神・淡路大震災を教訓に、必要な人員・資機材を機動的に被災地へ投入し、効果的な人命救助活動を行える装備として開発され、1996年から東京消防庁などへ配備が始まりました。

 全国の消防組織に広く配備されている「救助工作車III型」、いわゆるレスキュー車と同じような高度救助資機材を搭載しつつ、航空自衛隊のC-130輸送機に積載して空輸できるようにするため、小型の救助工作車2台に機能を振り分けているのが特徴です。そのため、出動時は2台1組で運用されます。

 帝国繊維(テイセン)のカタログでは、1号車には3t引きのフロント油圧ウインチと照明装置2灯(150ワット×2)が、2号車には3t引きのリア油圧ウインチと照明装置(LED450ワット×2)、発電装置が装備されているとのこと。もちろん交通事故のような市井での救助活動にも対応しています。

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横浜市消防局に配備されている「大規模震災用高度救助車」の1号車(AR)。横浜消防では「機動震災救助車」の名で運用されている(柘植優介撮影)。

 一方、「大規模震災用高度救助車」は、前出の救助工作車IV型をベースに開発されました。2台1組であることは救助工作車IV型と変わりないですが、震災対応に特化した資機材をそれぞれ搭載しているのが特徴です。

 エアレスキューツール破壊器具がメインの1号車(AR:Air Rescue)は、がれきなどに閉じ込められた要救助者を迅速に救出するため、車両後部に高圧エンジンコンプレッサーを装備。圧縮空気を使用するコンクリートカッターやチッピングハンマー、ロックドリルなどを積載・使用することで、救助の障害となる物体を素早く破壊・除去することができます。これに加えて、画像探査機、熱画像直視装置、夜間用暗視装置、地震警報器なども搭載しています。

 電動器具がメインの2号車(ER:Electric Rescue)には、車両発電機を利用した電動式器具が装備されています。電動式救助器具としてはスプレッダーやハサミカッターなど、電動式破壊器具としてはコンクリートブレーカーやハンマードリルなどを搭載しているほか、夜間は照明車としても活用できます。

【えっ、それ積んでいるの!?】大規模震災用高度救助車の搭載資機材をイッキ見

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