空自の輸送機から出てきた「消防車」フツーじゃなかった! 能登地震で真価発揮の“専用設計” 誕生は過去の教訓
2024年元日に発生した能登半島地震に対し、全国から救援部隊が駆け付けました。なかでも自衛隊機で迅速に運ばれたのが東京消防庁と横浜市消防局の小さなレスキュー車。これらは過去の震災の教訓から生まれた特殊な消防車でした。
「AR」と「ER」何の略?
先に登場したのは「救助工作車IV型」です。この車両は阪神・淡路大震災を教訓に、必要な人員・資機材を機動的に被災地へ投入し、効果的な人命救助活動を行える装備として開発され、1996年から東京消防庁などへ配備が始まりました。
全国の消防組織に広く配備されている「救助工作車III型」、いわゆるレスキュー車と同じような高度救助資機材を搭載しつつ、航空自衛隊のC-130輸送機に積載して空輸できるようにするため、小型の救助工作車2台に機能を振り分けているのが特徴です。そのため、出動時は2台1組で運用されます。
帝国繊維(テイセン)のカタログでは、1号車には3t引きのフロント油圧ウインチと照明装置2灯(150ワット×2)が、2号車には3t引きのリア油圧ウインチと照明装置(LED450ワット×2)、発電装置が装備されているとのこと。もちろん交通事故のような市井での救助活動にも対応しています。
一方、「大規模震災用高度救助車」は、前出の救助工作車IV型をベースに開発されました。2台1組であることは救助工作車IV型と変わりないですが、震災対応に特化した資機材をそれぞれ搭載しているのが特徴です。
エアレスキューツール破壊器具がメインの1号車(AR:Air Rescue)は、がれきなどに閉じ込められた要救助者を迅速に救出するため、車両後部に高圧エンジンコンプレッサーを装備。圧縮空気を使用するコンクリートカッターやチッピングハンマー、ロックドリルなどを積載・使用することで、救助の障害となる物体を素早く破壊・除去することができます。これに加えて、画像探査機、熱画像直視装置、夜間用暗視装置、地震警報器なども搭載しています。
電動器具がメインの2号車(ER:Electric Rescue)には、車両発電機を利用した電動式器具が装備されています。電動式救助器具としてはスプレッダーやハサミカッターなど、電動式破壊器具としてはコンクリートブレーカーやハンマードリルなどを搭載しているほか、夜間は照明車としても活用できます。
コメント