あまりに代償デカすぎた「ロシア兵器購入」 孤立するトルコ空軍、本当に「中パ製の戦闘機」を選択するのか?
ロシア製ミサイルシステムの導入が決定打か
なかでも決定的とされるのが、ロシア製の強力な防空ミサイルシステムS-400を購入したことです。当初、トルコがその決定を明らかにすると、アメリカはF-35の開発・生産・運用計画から同国を排除すると明言、強くS-400購入の撤回を迫りました。しかし、トルコはアメリカの動きを拒否、最終的にS-400を導入したのです。
結果、アメリカは宣言通りS-400を導入したトルコを、F-35のプロジェクトから追放してしまいました。トルコはF-35共同開発国の一員であったにも関わらずです。その動きは厳格で、引き渡しが目前であったトルコ空軍の国籍章が入ったF-35さえ、全て自国空軍へ転用・編入してしまいます。
トルコが、ヨーロッパやアメリカの反発を甘く見ていたのかどうかはわかりませんが、S-400導入の影響はF-35計画から追放するだけで終わりませんでした。すでにトルコ空軍が運用中である既存のF-16「ファイティングファルコン」についても、老朽化に伴う性能向上・寿命延長化改修、いわゆるF-16Vへのアップデート計画に難色を示したのです。
これに対し、トルコはF-16Vの代替として、英独伊西が共同開発したユーロファイター「タイフーン」を導入しようと計画します。しかし、折しもロシアがウクライナに侵攻を開始したことで、ヨーロッパとロシアを天秤にかけるような態度を同国が取っていたことが影響を及ぼします。なかでも、ドイツのトルコへの不信が高まったことで、こちらについても難しい状況に直面してしまいました。
ロシアに対して良い顔をすれば当然、既存の友好関係にはヒビが入るという当たり前すぎる結果に対して、トルコがどれだけ事前にリスクを計算していたのかはわかりません。
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