横浜みなとみらいのヌシ 帆船「日本丸」100歳目前!? あまりにも波乱万丈の半生を知っているか
クラファン実施なんと2回目
保存場所として東京、船橋、清水、豊橋、神戸、福岡などが誘致に手を上げますが、その中で横浜市は市民83万人の署名を集めるとともに、神奈川県や横浜商工会議所などと連携。再開発が決まっていた三菱重工横浜造船所(旧横浜船渠)の第一号船渠で船舶資格を残したまま保存し、すべての帆をひろげる総帆展帆などを定期的に実施するというプランを運輸省(当時)に提案します。
こうした経緯から、帆船「日本丸」は、みなとみらい21地区で係留・保存されることになり、1984(昭和59)年に退役しました。旧横浜船渠第一号船渠という実際に修繕で使われていた場所に保存されている強みを生かし、2018年から2019年にかけてはドックの水を抜き、腐食した船体の補修や木甲板の張り替え、ひび割れたヤードの交換などを行っています。
とはいえ、船舶検査証書が交付されている現役の船として、海上で保存し続けるには、毎年多くの資金が必要です。そのため、帆船日本丸記念財団は2022年に船体の維持修繕などの費用を募ろうと、クラウドファンディングサイトの「READYFOR」で1回目のクラウドファンディングを実施しています。
2024年は2回目になり、今回のプロジェクトでは、舵輪を含む手動操舵装置が収められている船尾フードの修繕工事費用として、385万円を目標に募っています。
激動の昭和時代を駆け抜けた貴重な生き証人である帆船「日本丸」。将来にわたって残すためには、資金はもとより多くの人の理解と関心を得ることが求められています。横浜のみなとみらい地区を訪れた際には、美しい姿を保っている帆船「日本丸」をぜひ見に行ってみて下さい。「歴史の大波」を幾度となく乗り越えてきたその勇姿は一見の価値ありでしょう。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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