「海の国道」って知ってました? 60周年の「伊勢湾フェリー」 その裏にある壮大な道路構想と“実態”
「フェリーが国道」だからどうだって?
しかし、伊勢湾の横断部については現地調査までは行われているものの、現在目立った動きはありません。
「フェリーが国道指定されているのは、何か意味がありますか?」の質問に、伊勢湾フェリーは「特にないです」とキッパリ。国道であることの案内も特に行っていないとか。また、実際に渥美半島から伊勢湾フェリーを使って大阪へ出るという人も、ほとんどいないのでは、とのことでした。
「当社のフェリーは観光利用が主体です。たとえば、クルマを伊良湖に置いて、カラダだけ(徒歩利用)で鳥羽や伊勢に行き、戻ってこられるお客様も多いです」(伊勢湾フェリー)
豊橋駅から伊良湖岬まで、電車(豊橋鉄道)・バスの乗車券と伊勢湾フェリーの片道乗船券がセットになった「鳥羽・豊橋割引きっぷ」も大人2900円で設定されており、コロナ前は年4500人くらいが利用したそうです。鳥羽からはJRや近鉄を使い、名古屋回りで戻ってくることもできます。
「伊良湖水道は1日200隻の大型船が通るほか、三島由紀夫の小説(『潮騒』)の舞台になった神島や答志島といった島々も船から見ることができます。1時間の航路を移動しながら観光できるので『動くパビリオン』などと言われることもあります」(伊勢湾フェリー)
ちなみに、実は伊勢湾フェリーはもうひとつ、“国の道”に指定されています。千葉の銚子から和歌山市の加太までの総延長1487kmとされている「太平洋岸自転車道」の海上区間として、これまた東京湾フェリーとともに組み込まれています。近年、このルートが「ナショナルサイクルルート」に認定され、伊勢湾フェリーでも外国人を中心に自転車利用が増えている傾向だということです。
【了】
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