有人の攻撃ヘリに未来ナシ? 開発“ドタキャン”のアメリカ軍 でもよくあること…?
アメリカでは「よくあること」
産業界にとって数十億ドル規模のプログラムがキャンセルされるというのは問題で、シコルスキー本社があるコネチカット州の議会代表団はすぐに懸念の声明を発表し、国防総省に説明を求めています。ベル・テキストロン社もまた、採用を目指して設備投資を行っていたので、経営への影響が懸念されます。
しかしアメリカでは、こうしたプログラムが進捗途中でキャンセルされるのは珍しいことではありません。あるビジネスコンサルタントは「プログラムの完全な安定性や予測可能性を期待するのは非現実的だ。民需部門では技術や消費者ニーズ、嗜好の変化はあるもので、軍需部門であっても指弾されることではない」と述べています。つまり産業界もある程度は織り込み済みで、軍も別事業などで補填します。
今回のFARAのキャンセルについては、比較的早い時期の決定であり、軍と産業界との関係に大きなダメージを与えることはないとされています。無人航空機のアップグレードやUH-60「ブラックホーク」の近代化改修、CH-47F「ブロックII」輸送ヘリコプターの購入計画で、産業界へ仕事を発注しているからです。
大規模プログラムの立ち上げから完成、またはキャンセルに至るまで経緯を公開し、議会もそれに反応するアメリカの軍と産業界、政府の関係性は、日本も参考にすべきところがあります。
【了】
Writer: 月刊PANZER編集部
1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。
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