「出ていってくれ」 みなとみらい線「車庫の間借り」ができなくなったワケ 開業20年でいま整備中

「新線」で東急の方針が変わった

 そもそも開業時の取り決めはどうなっていたのでしょうか。断片的な情報では2004(平成16)年の開業から15年間は元住吉車庫を貸すが、それまでに自前の車庫を整備するよう求められていたように見えます。

 しかし実際は「15年」とはとりあえずの数字であり、その後の契約については改めて協議をするということで、「15年後に出ていってくれ」という前提ではなかったそうです。

 ところが相鉄・東急新横浜線の建設が始まった2011(平成23)年頃に話が変わってきます。同線向けの車両増備が必要になったことで東急の方針が変わり、将来的な退去を求められたのです。

 この時、直ちに着手すれば2019(平成31)年に間に合ったかもしれませんが、計画策定と各種手続き、工事に要する時間を考慮すれば、東急も期限内の退去を想定はしていなかったでしょう。貸し手側とはいえ、東急の都合で横浜高速鉄道に巨額の設備投資を迫る内容です。一方的な話ではなく両社で解決しなければなりません。

 以降、両者は水面下で協議を重ねてきましたが、方針が固まったのが2017(平成29)年。ここで計画はようやく世間に発表されました。

 ところが地元説明会は紛糾しました。車両留置場につながるトンネルが横断するのは横浜の高級住宅街「山手」。近年相次ぐトンネル建設中の陥没事故への不安や、騒音、振動などの心配から、住民から反対の声が相次いだのです。

【どこにできる?】みなとみらい線の新「地下車庫」の位置(地図)

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