「出ていってくれ」 みなとみらい線「車庫の間借り」ができなくなったワケ 開業20年でいま整備中
元住吉からの「強制退去」はあるのか?
一帯は上総層群と呼ばれる堅い岩盤で、トンネルは地下20m、公園付近は地表から50m程度の深い所を掘るため、過去事例からみても地元が懸念する問題は起こらないと思われます。しかしすれ違いは、それ以前に起きていたような気がします。
前述のように説明会は「2019(平成31)年」という期限を強く打ち出したものでしたが、2年前に言われても本当に必要なのか、なくても何とかなるのではないかと思われても仕方ありません。
第1回説明会では「車庫の借地期限が2019(平成31)年1月までなのに、なぜもっと早く検討しなかったのか」との質問に対し、「数年前から先方と協議を続けてきておりましたが、検討が遅くなったのはご指摘の通りです」と回答しています。
これでは経緯は正しく伝わりません。その後、期限が過ぎても元住吉車庫から「強制退去」されないことを見て、やはりなくても問題ないのではないかと考えた住民もいたことでしょう。
2017(平成29)年より前、できる限り早く計画を公表すべきだった、発表後は経緯をもう少し丁寧に説明すべきだったというのが今回の教訓でしょうか。なお、東急とは車両留置場完成まで元住吉車庫を使用することに合意しているとのことです。
【了】
Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)
1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx
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