JRもついに踏み出した「飛行機みたいなチケットの買い方」は画期的か?中途半端か? “価格変動制”活かさなければ未来はない!

「早割」の目的は「早いほど安くする」ではない

 航空会社が以前に付けた「早割」という商品名がよほど印象的なのか、多くのバス事業者で「予約受付開始時(1か月前)は安めに設定し、予約数が伸びると運賃も上げる」という「段階的値上げ」の考え方が染みついています。

 ではなぜ航空運賃は「早割」だったのでしょうか。航空の国際線では、乗客は観光客と出張客に大別できます。観光客は早めの予約、出張客は直前予約が多い傾向です。また観光客は「自腹」ですし、安い便、安い日程を選ぶこともできるので価格に敏感ですが、出張客は会社の経費を使うため価格をあまり気にしません。

 そこで航空会社としては、後から予約が入るであろう出張客の数を便ごとに予測し、その分の席を取り置いておき、それ以外の席数を観光客向けに安い運賃で販売します。「自腹」の観光客は安く予約でき、出張客は直前に予定が確定しても希望のフライトを予約でき、航空会社は収入を最大化でき、皆が得します。

 出張客の数やそのバジェット(いくらまでなら払ってくれるか)は、路線や季節、曜日、競合環境などで変わります。それらを精緻に分析し正しく需要を予測することで正しい値付けが可能なのです。

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スカイマークの旅客機。航空会社では早くから変動運賃が導入されている(乗りものニュース編集部撮影)。

 この「早期予約者は価格に敏感で、直前予約者は価格を気にしない」という法則は航空以外でも当てはまるでしょうか。

 例えば国内のホテルでは、早期予約の観光客は「ハレの日」だからいいホテルを取る一方、直前予約の出張客は「どうせ仕事だから」安いホテルを選ぶ人が多いはずです。米国の航空会社発祥の「ビジネスクラス」は上級座席なのに、和製英語である「ビジネスホテル」は安めのホテル、とねじれているのは、このあたりに理由がありそうです。

 つまり、「早期予約者=価格に敏感。直前予約者=価格を気にしない」という傾向は、日本のホテルにも、高速バスにもありません。だから、何も「早期予約は安く、直前予約は高め」にこだわる理由はないのです。

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