国民へは極秘… 大和型は敵からどんな戦艦だと思われていた? 「とんでもなくデカい」「そんな主砲あるはずない」錯綜した情報

大和型戦艦は、旧日本海軍の最高機密である「軍機」に指定された戦艦であり、徹底した機密保持の中で建造されました。そうした機密保持はどの程度、成果を挙げていたのでしょうか。ここでは対戦国側の記録を見ていきます。

レイテで航空写真、撮ったよね…?

 その一方、性能に対する予測は不確定で、1944(昭和19)年7月時点でも『レコグニション』誌には「基準排水量4万5000トン、全長265.2m、全幅42.4m、40.6cm砲9門、15.5cm砲12門、28ノット(51.8km/h)」と記載され、「アイオワ級戦艦を除く全ての戦艦に匹敵する」と評価されてもいました。そうした情報も参考にしつつ、1945(昭和20)年の『ジェーン年鑑』では「最大速力30ノット(55.6km/h)、舷側装甲356mm、水平装甲152mm」と異なる情報が記載されています。

 なお、1944年10月のレイテ沖海戦で航空写真が撮影されたこともあり、全幅や高角砲の装備数の記載が改められたものの、アメリカは最終的にはそのように評価していたようです。

 とはいえ、天一号作戦で沖縄に向かう「大和」迎撃を命じられたデイヨー艦隊では、「『大和』の主砲がもし18インチ(45.7cm)砲なら、その射程は4万5000ヤード(4万1148m)に達するので、16インチ(40.6cm)砲の戦艦しか持たない我が艦隊はアウトレンジ(編注:自軍の射程外から攻撃されること)される可能性があるし、その高速性で突破される可能性もある」という意見も出ました。想像するに“我々が劣るはずがない”から「大和型の主砲は40.6cm砲だろう」といった認識の一方で、「45.7cm砲を備えた高速戦艦に違いない」という意見も根強く見られたことになります。

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朝鮮戦争で艦砲射撃中の戦艦「アイオワ」(画像:アメリカ海軍)。

 筆者(安藤昌季:乗りものライター)の私見ではありますが、航空写真で概ね正確なサイズが判明しているのですから、アメリカ軍の一部で「大和型の搭載主砲は40.6cm砲ではない」と考えるのは無理もありません。

 アメリカ軍は当時、大和型の全長、全幅、副砲・高角砲は正しいサイズで査定しているので、「自軍の戦艦より大きな主砲であってほしくない」という気持ちが見え隠れして「40.6cm砲」と査定したものとも考えられます。実際、プラモデルで並べても、大和型の46cm主砲塔は40.6cm砲のアメリカ戦艦より、一回り大きなものですので……。

【了】

※一部修正しました(3月10日8時40分)。

【ここを隠しただと!?】「大和」が建造された工廠のいま(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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