航続距離も武装も異次元!? 海保の歴史を変えたスーパー巡視船「しきしま」引退 ムダになりかけた元「核を護る船」の30年

海上保安庁が保有する最大級の巡視船「しきしま」が間もなく引退です。日本初の7000トン超え巡視船として生まれた同船は当初ムダな存在になりかけたものの、のちに「あってよかった」船へと昇華。同名の後継船も進水しました。

プルトニウム輸送の護衛 無事成功!

 こうして生まれたのが「しきしま」でした。同船は、さまざまな脅威からプルトニウムを守るという単独で秘匿性の高い任務をこなすため、ヨーロッパと日本の間を往復できる長大な航続力と、関係機関と密な連携が取れる高い通信能力、そして当時の巡視船としては異色の重武装を備えた船として誕生しました。

 建造は、1989(平成元年)度補正計画で決まり、1992年4月8日に石川島播磨重工業東京第一工場(当時)で竣工。当初は第三管区海上保安本部の横浜海上保安部に配備されました。

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巡視船「しきしま」の船体後部。ヘリ格納庫上部にも後ろ向きに35mm連装機銃を備えている(深水千翔撮影)。

 武装としてFCS(射撃管制機能)を備えた35mm連装機銃2基とRFS(目標追尾型遠隔操縦機能)を備えた20mm多銃身機銃2基を搭載。このように前後部に機関砲を装備することで全方位への対処ができ、さらに遠距離からも正確な射撃が可能となっています。

 また、マストには対空捜索用レーダーを装備し、速力は25ノット(約46.3km/h )以上出るなど、当時海上保安庁が保有していた大型巡視船としてはかなり際立った性能も有していました。航空機運用能力に関しても、ベル412よりも大型かつ高性能な「スーパーピューマ」を2機搭載できる広大な飛行甲板と格納庫が設けられ、従来の巡視船と比べて大幅な強化が図られています。

 なお、「しきしま」はこのように既存の巡視船とは一線を画した性格を有する船として誕生したため、船内構造や乗組員に関しては徹底した情報管理が行われるなど、その点でも異色の存在であったといえるでしょう。

「しきしま」は、就役すると早々に1992(平成4)年11月7日から翌1993(平成5)年1月5日にかけて行われた、プルトニウム輸送の護衛に投入されます。その任務で、フランスのシュルブール港を出港した専用運搬船「あかつき丸」(3804重量トン)を無事に茨城県の東海港へと送り届けることに成功。総日数60日、総航程約2万海里(約3万7040km)という、長期間に及ぶ護衛任務を成し遂げました。

【大きなレーダーがない!?】似ているけど違う、新旧「しきしま」を見比べ(写真)

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