航続距離も武装も異次元!? 海保の歴史を変えたスーパー巡視船「しきしま」引退 ムダになりかけた元「核を護る船」の30年

海上保安庁が保有する最大級の巡視船「しきしま」が間もなく引退です。日本初の7000トン超え巡視船として生まれた同船は当初ムダな存在になりかけたものの、のちに「あってよかった」船へと昇華。同名の後継船も進水しました。

大きいことはイイことだ!

 しかし、「しきしま」がプルトニウム海上輸送の護衛に使われたのはこの1度きり。これ以降はフランスなどで「MOX燃料」に加工したものを運搬する際は専用船が用いられ、護衛には海外の武装した民間警備会社の専門要員があたるようになっています。

 プルトニウム運搬船の護衛から離れた「しきしま」は、通常の巡視船と同じように領海警備や海難救助といった任務に就くようになります。ただ、長期の行動が可能で、ヘリ運用能力に長けている大型巡視船は洋上基地として使い勝手が良く、海賊への対処などで海外へ派遣することもできる同船は重宝されました。

 こうした実績から、海上保安庁は「重大事案、遠方事案等の新たな業務課題に対応していくためには、被害制御・長期行動能力等を備えた大型のヘリコプター搭載型巡視船が必要」との認識を示すようになります。

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巡視船「しきしま」。船体後部のヘリ格納庫には大型の「スーパーピューマ」を2機収容することが可能(深水千翔撮影)。

 その結果、「遠方事案に最低1隻を継続的に派遣でき、我が国周辺海域で重大事案が同時発生した場合にも対応できる体制」を作り上げるため、2010(平成22年)度計画で「しきしま」をベースにしたヘリコプター2機搭載型巡視船の建造を決定。こうして、事実上の姉妹船といえる「あきつしま」(7350総トン)を、2013(平成25)年11月28日に就役させました。

 このころには、日本最南端、沖ノ鳥島近海への長期派遣や、尖閣諸島の領有権を主張する中国への対処などに対し、長期間洋上で活動可能なヘリコプター2機搭載型大型巡視船が、その有用性を示すようになります。

 それらを踏まえ、海上保安庁は2018(平成30)年以降、しゅんこう型(6742総トン)やれいめい型(7300総トン)といったヘリコプター搭載型の大型巡視船を急ピッチで整備するようになりました。この動きは、まさしく「しきしま」が先駆者として道を作ったからこそだと言えるでしょう。

【大きなレーダーがない!?】似ているけど違う、新旧「しきしま」を見比べ(写真)

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