バギーから空へズドドドド! ガトリング砲搭載の「ドローン撃退カー」がスゴイ これぞ世界の課題の対抗策?

もはや待ったなし 原発やサミット警備にも

 以前から、こうしたハードとソフトの両方を統合した対UAV(ドローン)システムの構築は時間の問題だと筆者は考えていました。現在、UAVに関しては運用も対策も発展途上にあるといえます。

 人間でいえば、赤ん坊がようやく立ち上がるようになりかけている段階です。しかし、ここから先は、技術的にも戦術的にも進歩のスピードは加速していくことが予想されます。本車との出会いは、まさにそれを感じさせるものでした。

Large 240329 cdv 03

拡大画像

ミニガンに付属したモニターにはレーダーの画像が表示されている。自車の周囲のどの方向にドローンが接近しているのか、すばやく把握することができる(飯柴智亮撮影)。

 対ドローン製品を提供する会社は数多いですが、そのほとんどはハード、もしくはソフト、いずれか一方の単一商品を扱っています。それに対してCDT社はハードとソフトの両方を、システムとして完成させ提供しています。筆者が知る限り、ハードとソフトをシステムとして完成させて提供している企業は、ノースロップ・グラマンのような大手を除いては、CDT社だけです。

 あくまでも「カウンター・ドローン・ヴィークル」はシステムの末端にあたる装備で、これがすべてというわけではありません。しかし、単体としても使用できるように作られており、防空に使用することも可能とのハナシでした。また、全システムを揃える予算のない相手にあわせて、システムのテイラーメイドもできます。

 現在、防衛省・自衛隊は「無人アセット」の装備化に注力していると聞きます。一方で、対ドローンの取り組みはあまり聞こえてきません。冒頭でも述べたように「乱発」状態のドローン攻撃は、日本にとっても現実の脅威となりえます。

 そう考えると、末端部隊レベルで運用できる小型のシステムの導入は急務でしょう。また防衛だけでなく、原発警備やサミットなどの国際的イベントでも、機動力がありハードとソフトの両面で対応できる本車のようなシステムは有効なのではないかと、筆者は考えています。

【了】

【もはや戦車?】これがクローラー式の対ドローン戦闘車両です(写真)

Writer: 飯柴智亮(元アメリカ陸軍将校)

東京都出身。州立北ミシガン大学在学時に米陸軍予備役士官訓練部隊(ROTC)で訓練を受ける。1999年、米陸軍入隊。第82空挺師団に所属しOEF(不屈の自由作戦)に出征。2005年、少尉任官。ストライカー旅団などで勤務。2009年除隊。国際政治学修士。極真空手初段。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。