ロシア空軍の「大損失」短期間かつ一方的にやられたワケとは? しかしウクライナ“明日は我が身”になりかねない?
F-16&滑空爆弾の運用開始でウクライナ空軍も危うい
S-300や「パトリオット」を避けるには低空飛行が有効であるものの、UMPKはグライダーであるため低高度から投下すると飛距離を稼ぐことができません。つまりUMPKの飛距離を伸ばそうと、高高度を飛行した場合は長距離地対空ミサイルに狙われ、それを避けるために低空飛行すると比較的射程の短いその他の地対空ミサイルの射程圏内に入ってしまうのです。
こうした事情によってロシア空軍はSu-34を中心に大打撃を受けてしまったと筆者(関 賢太郎:航空軍事評論家)は考えます。
一方、ウクライナ側にも今後、アメリカ製の高性能戦闘機F-16「ファイティングファルコン」が引き渡される予定です。この機体は、前出のUMPKとほとんど同じ性能を持ったアメリカ製の滑空爆弾「JDAM-ER」を運用可能で、いざ配備されたらおそらくウクライナ空軍は運用を開始するでしょう。
UMPKやJDAM-ERのような滑空爆弾は安価で射程を伸ばせる使いやすい兵器ですが、極めて濃密な地対空ミサイル防空網によって守られた地上目標を攻撃するには、あまり向いていません。
もし今後、ロシアとウクライナによる滑空爆弾の投げ合いのような展開になった場合、ウクライナ空軍のF-16も、Su-34と同じように消耗することは避けられないかもしれないでしょう。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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