いまや東名&中央道の“ダブル迂回路” 「道志みち」のバイパス整備進む “一番キツイ箇所”一気に抜ける!
道路ネットワークの整備により、国道413号「道志みち」の存在感が高まっています。中央道・東名双方の迂回路になる山間の街道、その危険個所が解消されつつあります。
東名の迂回路にもなってきた「道志みち」
休日の午後など、東京方面に帰る際、「東名も中央道も渋滞でビッシリ」といった場面に遭遇することもしばしばです。そうした場合に迂回路の選択肢に入る国道413号「道志みち」で、バイパスの整備が進んでいます。
「道志みち」は富士山麓の山中湖方面と相模原市街を結ぶルートで、山梨県南東部の道志村を経由することから、その名がついています。以前から、中央道上り線の「小仏トンネル」渋滞を迂回するルートのひとつとして知られていました。
これに加え、2021年3月に新東名高速の御殿場JCT―新御殿場IC間と国道138号バイパス「須走道路」が開通し、東富士五湖道路と接続したことで、東名高速の迂回路としての存在感も高まっています。
2021年3月の開通は、富士山の東側の高規格道路を介して新東名と中央道(富士吉田支線)を結ぶものでしたが、このルートでは小仏トンネルを経由するため、休日午後の上り線で東名から中央道へ迂回しても、結局は小仏トンネルの渋滞にハマります。
他方、国道138号バイパスにより御殿場―山中湖も飛躍的に移動しやすくなり、山中湖から圏央道方面へ直通できる「道志みち」ルートも迂回路としての選択肢に入るようになりました。
東名の迂回路にもなってきた「道志みち」
休日午後の東名上り線は、大井松田ー御殿場間や海老名JCT、大和トンネルと複数箇所で渋滞し、平時は御殿場から東京ICまで1時間強で移動できるところが、3時間近くかかることもしばしばです。新御殿場から山中湖へ回り、「道志みち」経由でこれらを一気に迂回し、圏央道の相模原ICへ出ることができます。
なおこのルートで新宿方面へ向かう場合、平時は道志みちの途中で中央道の相模湖ICに出た方が早いですが、やはり小仏トンネルの渋滞を避けられません。
平時において御殿場市街(東名駒門PA)ー高井戸IC間を山中湖・道志みち経由で移動する場合、中央道 相模湖IC経由が約2時間15分、圏央道 相模原IC経由が約2時間40分と出ました(Google map)。東名の渋滞をそのまま通過したほうが早いケースもありますが、事故渋滞などで深刻化している場合は、選択肢として視野に入ってきます。
とはいえ、道志みちは全体的に山道なうえ、集落を通る区間も多いので注意が必要なルートです。山梨県によると、休日は交通量が平日の2倍以上という観光道路でもある一方で、「正規の構造規格を満たしていないため事故も多発しており危険」であることから、抜本的な道路整備が求められているといいます。
どんなバイパスに?
現在、整備が進んでいるバイパスは、神奈川県境に近い山梨県道志村月夜野地区の“クネクネ区間”を一気に抜ける約2.3kmの道路です。1051mのトンネルがその大半を占めます。
この区間は、道志みちの他区間と比べてもアップダウンが多く、見通しの悪いブラインドカーブやヘアピンカーブが連続します。2024年4月現在、現地では取付部の橋脚などができており、アップダウンを高架橋で越える直線的かつ勾配の少ないルートになることが伺えます。開通は2029年の予定です。
今年1月、国や沿線自治体(東京都、山梨県、神奈川県と相模原市)の道路・鉄道の管理者などが連携した「東京~山梨・長野 交通強靱化プロジェクト」では、中央道、国道20号の災害対策と並行して、代替ルートを確保すべく「道志みち」の強靭化も打ち出されました。山梨県は道志村から都留市内を結ぶ県道「都留道志線」の災害防除工事も進めており、大月―相模原の第二ルートの一部として確保していく構えです。
【了】
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