非冷房&ドア全開 台湾「旧客普通列車」の旅 暗闇の駅で思う「日本もこうだったのか…」【前編】
台湾では2020年まで、旧型客車(旧客)が「普快」という種別で運行されていました。昔から変わらない非冷房に扇風機。窓は全開で、デッキのドアは手動で開け放し。日本の旧客と瓜二つの客車が、つい最近まで走っていたのです。
この記事の目次
・「普快車」に旧客が使われていた
・旧客の形式 あえて日本表記にすると…
・急行「はつかり」を想起させる台湾旧客
・2017年以降、沿線に繰り出し撮影
【画像枚数】全20点
「普快車」に旧客が使われていた
鉄道ファンのあいだでは、旧型客車のことは「旧客」と称されます。旧客の車体は茶色や青色で、ドアは手動の開き戸。国鉄末期には廃車となり、JRへと継承された客車がイベント用に残され、今でも蒸気機関車が牽引する姿を目にすることがあります。
旧客と呼ばれる存在は、お隣の台湾にもありました。台湾の旧客は2020年12月22日に廃止となり、現在は観光用として残されています。私は2006(平成18)年の初訪台の時、この客車に出会いました。その姿を前後編で紹介いたします。
台湾鉄路局(以下、台鉄)は、日本のJR在来線と同じ1067mm軌間です。台湾を一周する環状線路が形成され、いくつかの区間に分割されて路線名が付けられています。台鉄は日本統治時代を経てきた歴史があり、戦前だけでなく戦後も日本メーカーが台湾向け車両を製造し、現在でも特急形電車や電気機関車などを輸出しています。
残り2641文字
この続きは有料会員登録をすると読むことができます。
Writer: 吉永陽一(写真作家)
1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。