鉄道ファン驚愕「“西武王国”にJR車がくる!?」でもそんな珍しくない? 打ち破った“譲渡車のセオリー”
「そのまま他社にまるっと譲渡」も増えた
ところがJR発足後は、JR車両が私鉄で走る機会が増加しており、譲渡自体は頻繁に行われるようになりました。
富士急行(現:富士山麓電気鉄道)では、国鉄時代に誕生した205系通勤形電車を21両譲り受けています。そのほかにも観光列車用としてJR東日本に在籍していた165系急行形電車のジョイフルトレイン「パノラマエクスプレスアルプス」を購入して2000系に、JR東海からも371系特急形電車を購入し8500系に改称して使用。長野電鉄でも、特急車両の更新に元JR東日本の253系特急形電車を譲り受けて2100系電車とするなど、さまざまなパターンが生み出されています。
これ以外にも、新幹線の延伸開業に伴って分離・第三セクター鉄道化される並行在来線用に、それまでJR が使っていた車両がそのまま譲り渡されるケースも多く見られます。最近では、北陸新幹線敦賀延伸開業の際に、JR西日本の521系近郊形電車のうち2両編成16本(32両)が、福井県内の並行在来線を引き継いだ「ハピラインふくい」に譲渡されています。
ちなみに、三岐鉄道に譲渡された211系は静岡車両区所属の5600番台で、3両編成5本(15両)もあるため、既存の西武車がほとんど置き換わってしまう両数です。製造は1989(平成元)年のため実に35年前の電車になりますが、錆びないうえに塗装も不要なステンレス車体ということもあり、これから先も数十年に渡り三岐線で活躍が見られることでしょう。
今後も、今回のような「JRからの予想外の車両譲渡」が見られるかもしれません。
【了】
※一部修正しました(5月31日10時41分)。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれの自動車・鉄道系イラストレーター/ライター。雑誌、WEB媒体で連載を多く持つ。コピックマーカーで描くアナログイラストを得意とする。クルマは商用車や実用車、鉄道ではナローゲージや貨物、通勤電車、路面電車、地方私鉄などを好む。
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