伝説の珍兵器「パンジャンドラム」とは? 80年前の暴走“自爆ドローン”!? 本気だったのか欺瞞工作か

明らかにバレバレな実験に欺瞞工作の可能性も?

 当時の技術力では明らかに戦力化が不可能で、無茶苦茶な発想の本兵器は、イギリスのよく分からない方向性での兵器開発を揶揄するネットスラング「英国面」の象徴として、21世紀現在も語り継がれる存在となってしまします。ただ、「パンジャンドラム」の存在自体が実は、欺瞞工作の一部だったのではという意見も存在します。

 そもそも、なんの情報統制も考慮されていない、群衆の前での実験をしており、明らかにわざと目立つようにしていたとも考えられるからです。当時「パンジャンドラム」での破壊が必要になるトーチカや沿岸砲台などは、ドイツ軍が西欧で最も防御を重視していたパ=ド=カレー沿岸に多く設置されていました。

 そのため、あえて実験中の兵器を見せ、「パ=ド=カレー上陸する気だ」と思わせるという狙いがあったという説です。ただ、欺瞞のためだけに、ここまで時間をかけるわけがないという指摘もあるようで、やはり大真面目に同兵器を作ろうとしていたという意見もあります。

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破損した3輪タイプのパンジャンドラム(画像:帝国戦争博物館)。

 ちなみに、2009年に、イギリスでノルマンディ上陸作戦65周年を記念する行事が行われた際には、「パンジャンドラム」のレプリカが製作され、砂浜を走行させるというイベントが実施されました。現在のテクノロジーを導入して作られたこのドラムは直進こそしたものの、想定していた走行距離である450mにはほど遠い、わずか50mしか進まず、改めてこの兵器の開発が無謀だったことを証明する結果となってしまいました。
 

【了】

【うおっ! あぶね!!】これが、爆速で暴走するパンジャンドラムです(写真)

Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)

ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

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