ステルス機と真逆「すごくない戦闘機」の系譜 今も愛される高コスパ機 俺たちゃこれで十分だ!

21世紀になってもレシプロ機が主流、という軍用機の系譜が存在します。超高性能、かつ超高額な最新鋭ステルス戦闘機を尻目に、世界の戦場で使われ続ける「COIN機」とは一体何なのでしょうか。

“すごくない軍用機”、COIN機とは

 第2次世界大戦後にジェット化が進んだ戦闘機は、レーダーなど高度な電子機器を搭載するようになり、空中戦だけでなく対地攻撃の任務も兼ねたマルチロール機が登場し、最新の第6世代戦闘機ではステルス性が付与されるようになりました。

 しかし、こうした主力戦闘機は卓越した性能をもつものの、開発コストだけではなく、製造費も、配備後の維持費もなにもかも、とにかくお金がかかります。そのため、任務によっては費用対効果が悪く、低価格で性能が“全然すごくない”軍用機というのも連綿と存在し続けています。それが、本稿で紹介する「COIN航空機(COIN機)」です。

Large 240530 co 02

拡大画像

ベトナム戦争中にラオス王立空軍に移管されたノースアメリカンT-28D-5。T-28練習機の武装強化型(画像:アメリカ空軍)。

“COIN”とは“Counter Insurgency(対反乱)”の略称で、正規軍同士の戦いではなくゲリラやテロリスなど反乱軍を相手にした非対象戦において使用されることを意味します。

 第2次大戦後、東西冷戦期を通じて大国間が直接戦火を交える機会は減りました。しかし、戦争は地域紛争や内戦に姿を変えることになり、そうした変化に呼応し、主力戦闘機とは別に安価で多用途、そして費用対効果に優れた軍用機が求められるようになりました。これらがCOIN機と呼ばれるようになります。

 COIN機の源流は1950年代に起きたアルジェリア戦争までさかのぼります。この戦いでは、ゲリラ戦法などを駆使する各地の独立勢力に対し、フランス軍が低速で空から地上の動きを監視できる練習機や輸送ヘリを武装化し、対ゲリラの掃討戦に投入しました。これが先駆けとなり、のちのCOIN機につながったと考えられます。

 その後、ベトナム戦争をきっかけにCOIN機のスタイルが確立することになります。フランスのインドシナ戦争を引き継いでベトナムに軍事介入したアメリカは、F-4ファントムII戦闘機やB-52戦略爆撃機を投入する一方で、対ベトコン(共産ゲリラ)用にレシプロ練習機や輸送機、軍用ヘリなど既存の航空機をベースにした軽攻撃機を試験投入し、COIN機のコンセプトを固めていきました。

【あれ、先祖返りしてない!?】これが、“最新鋭”のCOIN機です(写真)

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。