ウチの水素エンジンは「ヨソと目の付け所が違う」 スズキが新型「水素スクーター」披露 「長すぎてカッコ悪い」が悩み!?

バイクメーカー各社が水素エンジンの共同研究を進める一方、スズキは独自開発も行っています。「ジャパンモビリティショー2025」で展示された技術展示車「水素エンジンバーグマン」は、「目の付け所がヨソと違う」ようです。

実はスズキは70年代から水素エンジン開発に取り組んでいた

 ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの国内バイク4社はそれぞれ、水素小型モビリティ・エンジンを共同で研究しています。その一方、ライバル同士でもある各社は独自開発の取り組みも行っており、その技術をスズキが「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」で披露しました。

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「水素エンジンバーグマン」のカウルに印字された「HYDROGEN(水素)」の文字(松田義人撮影)

 現在、メーカーの垣根を超えた共同の水素エンジン試験研究は「HySE(ハイス)」という水素小型モビリティ・エンジン研究組合を通して行われています。近年のカーボンニュートラルのゼロを目指す世界的な目標の中で誕生したもので、もちろんスズキも参加しています。

 ですが、実はスズキは1970年代より、すでに積極的に取り組んでいました。

 1977年には「武蔵3号」という水素エンジン実験車を開発。これは武蔵工業大学(現・東京都市大学)との共同開発だったことから「武蔵」で、初代セルボをベースにした、水素燃料を使う2サイクルエンジンのクルマでした。

 業界としては一早い取り組みで、スズキが当時から未来のモビリティを見据えていたことがよくわかります。独自に長年培ってきた水素エンジンの研究は「HySE(ハイス)」とは別の軸で行い、きっちり線引きをしているようにも映ります。

「長すぎてカッコ悪い」の声を受け2025年モデルで細部を改善

 そんなスズキ独自開発の水素エンジンを積んだスクーターが、JMSに出展した「水素エンジンバーグマン」です。

 スズキのビッグスクーター「バーグマン400」をベースにしているだけあり外観デザインの完成度は高く、スズキらしい雰囲気のある1台です。しかし、遠目に見ると、なんだかホイールベースが長めに感じます。聞けば全長2300mmもあるとのことで、市販のバーグマン400の全長2235mmより65mmもオーバーしています。

 スズキブースの担当者によれば、「これが一番の悩みの種だ」とのことで、次のように解説してくれました。

「スズキ独自開発の水素タンクは長くて、これをボディに収納させると、どうしてもホイールベースを長くしないと成立しないんです。今年の『水素エンジンバーグマン』は(JMS2023出品車に続く)2代目ですが、初代が『長すぎてカッコ悪い』『コーナリングが難しそうだ』と不評だったので、コーナリング面で、より取り回しがしやすくなるよう改善を計りました」

【長すぎる…?】これがスズキの「水素スクーター」です!(写真13枚)

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