舗装工事に革命!? ついに「ロードローラー」もEV化 「市場にないから作った」建機レンタル企業がなぜ?

建機EV化には「作業員の安全性」向上も

 電動化の流れは自動車だけでなく、建機業界でも進んでおり、今回の「CSPI-EXPO2024」には多くの電動建機が展示されていました。企業活動で環境問題を気にすることは、時代の流れともいえますが、それでもレンタル業が主体である会社が、わざわざ電動タイヤローラーを開発した意図はどこにあるのでしょうか。

 ブース担当者は次のように説明してくれました。
 
「弊社の主業務は建機のレンタル業であり、本来は開発メーカーではありません。しかし、レンタル業態というのは顧客との距離感が比較的近く、ゆえにカーボンニュートラルや工事現場の騒音抑制という観点で電動建機のニーズはしっかりあると日頃から感じていました。電動建機については各メーカーで開発されていましたが、なかなか市場には出て来ませんでした。そこで、『総合レンタル業のパイオニア』をうたっている弊社として、お客樣のニーズをキャッチアップするために、あえてタイヤローラーを自社で電動化してみました」

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電動タイヤローラーの車体後方。運転席部分には新しく追加した電装品のケーブルや機材が見える(布留川 司撮影)。

 タイヤローラーが使われる道路工事は、日中だけでなく深夜に行われることが間々あります。当然ながら住宅地で実施されることも多く、静穏性の高い電動建機は騒音を減らしてくれる大きなメリットを持っています。また、排気ガスを出さないのは、トンネル工事といった閉鎖空間での作業において、一酸化炭素中毒などの危険性をなくすことにもつながります。

 EV(電動)といえばクリーンで環境負荷が少ないというイメージから、エコロジーやカーボンニュートラルといった企業としてのメリットばかりが注目される傾向にあります。しかし、電動建機は工事現場の作業環境や工事内容を改善することにもつながる側面を含んでおり、状況によってはEV建機の方が重宝されるケースもあるでしょう。そう考えると、今後は活躍の場を広げていくかもしれません。

【了】

【無人でも動かせます!】これが「EVタイヤローラー」のデモの様子です(写真)

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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