なんというスケール…高速道路上の巨大「足場要塞」ついに潜入 「石ころ一つ落とさない」ために準備6年!? 今まさに格闘中!

4種の重機で静かに岩を削り取っていく

 岩塊撤去に至ったきっかけは、1996年に北海道で発生した「豊浜トンネル岩盤崩落事故」です。トンネル坑口付近の岩盤崩落により、20名が亡くなった事故を受け、全国のトンネルの上が緊急的に点検された結果、同様のリスクがある場所として唯一選定されたのが、この上信越道「北野牧トンネル」上の岩塊でした。

 北野牧トンネルを含む松井田妙義~碓井軽井沢間は、急峻な地形のうえに地盤が悪く、もともと難工事だった箇所です。1993年の開通から30年ほどですが、将来のリスクを取り除くべく、岩塊そのものを撤去するという予防的な保全措置を図ることになったのです。供用中の高速道路に近接した大規模な岩塊撤去工事は世界初だといいます。

 足場要塞の上、つまり岩塊の頂上では、重機によって少しずつ岩塊が取り除かれています。まず、クローラードリルと呼ばれる重機で細長い深さ2.5mほどの円筒状の穴をあけ、その穴にビッガーと呼ばれる重機で矢を差し込んで穴に横方向の力をかけ、岩塊を「割る」作業を行います。ビッガーが岩塊を割るとき、深く静かに“鈍い音”がしたのが印象的でした。

 その後、大型のブレーカーと呼ばれる重機で岩を砕き、バックホー(ショベルカー)で砕いた岩をダンプで運びます。より大きなダンプに岩を載せ替え、インクラインをそのまま下って搬出するというサイクルです。

 砕いた岩は採石場に運ばれ、トンネルの中込材などに使用することを考えているものの、累計9万5000立法メートルという途方もない量になるため、工事事務所では広く活用を求めています。事務所の傍らでも“お持ち帰り用”の岩が置いてあり、「不落石(落ちない石)」とゲンをかついでいました。

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足場の上、岩塊の撤去現場から本線を見下ろす(乗りものニュース編集部撮影)。

 ちなみに今回の一般公開は、2000人弱の応募の中から36組72名が選ばれており、倍率にして約50倍。小暮所長も反響の大きさに驚いているといいます。参加者からは「よく通っていて気になっていたので(応募した)」という声も聞かれました。

「あの足場のなかで何をしているのか、広く知ってもらいたい」と小暮所長。撤去完了までのあと2年ほどで、今後も公開を行っていきたいと話しました。なお、撤去後はさらに“後片付け”に3年ほどかかり、工事の完了は2029年の予定です。

【了】

【超壮大】「足場要塞」のナカはこうなっている!!(写真87枚)

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