「入り口が斜めに切られた」トンネル、なぜ増えた? 図らずも効果バツグン!? でも全部ができるわけじゃない
山岳トンネルの坑口の多くは、周囲の構造物も含めて垂直に作られていますが、新東名高速などではおでんの“ちくわ”のように、入口を斜めにカットしている場所もあります。これにはどのような効果があるのでしょうか。
図らずも結構効果テキメン?
山を掘りぬく山岳トンネルの坑口は、多くの場合、周りの構造物も含めて山に対し垂直に作られていますが、新東名高速などではおでんの“ちくわ”のように、入口を斜めにカットしている場所もあります。これにはどのような効果があるのでしょうか。
NEXCO中日本はこの効果を「ドライバーがトンネルに入る際に感じる圧迫感をなくすため」と説明します。また当初は渋滞対策ではなかったものの、圧迫感を感じることでドライバーが減速してしまうことの抑制につながり、「結果的として」、この形状による渋滞抑制効果も得られているそうです。
こうしたトンネルにおけるドライバーの無意識な速度低下は、渋滞の主要な原因のひとつにもなっています。NEXCO西日本によると、トンネル入口部での交通集中渋滞は全体の約20%を占めるとしており、これはインターチェンジ合流部や料金所部を大きく上回る数値です。
同社によると、斜めの入り口をもつトンネルは「以前から存在しますが、新東名を建設するころから増えてきた印象」とのこと。ドライバー心理の研究が進んだことが背景にあると分析しています。新東名をはじめ、比較的近年にできたトンネルに「斜めカット」が多いのも、こうしたことが理由に挙げられそうです。
ただ、全てのトンネルに斜めカットが適用できるわけでもないようです。
NEXCO東日本はウェブサイトで、斜めカットの圧迫感の少なさを挙げつつも、「トンネル入口(坑門)の形については、地形、周辺の景観、施工性、走行環境、維持管理のしやすさなど、いろいろな観点から検討して選考します」としています。NEXCO中日本も山間部周辺の景観に配慮する観点もあることから、斜めの坑口を採用するかしないかは、山の形状によっても異なるといいます。
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