クルマ買取「どっかで聞いたような手口」のトラブルに国民生活センターが警鐘 まだやってるのか中古車業界と非難もできない?
やっぱやめた、も通用しない?
一方で、その逆もあるかもしれません。契約をした後に、売主の気が変わった、あるいは諸事情で取り消したい――そこで、世の中にはクーリングオフという契約後の再考期間があるではないか、と思うかもしれません。
クーリングオフは訪問販売や電話勧誘販売などに適応されるため、車両の売買でもよくあるケースです。しかし、国民生活センターは、今度は売主に注意を促します。
「車の売却は、特定商取引法におけるクーリング・オフの対象外です。いったん契約をすると、原則として契約書の内容に拘束されます」
つまり、売主も業者も、契約書に基づいて取り決めを守られなければならない。そのために契約書の内容を、よく理解する必要があります。
例えば、業者が減額を迫り、それを売主が拒否した場合に、業者が車両の引き取り手数料といった要求するかもしれません。しかし、そもそも契約成立後に、契約書にない手数料の支払い義務はありません。また、契約書に書かれた以上の割高な手数料も無効です。
ただ、高過ぎると思えるキャンセル料でも、それが契約の段階で明記されていた場合、売主は従う必要が出てきます。
カネを見るまでモノは渡さない
悪質な買取相談例では、代金の支払いが引き延ばされるということがあるようです。相談例では、契約から1か月後に支払うことが約束されていたものの、支払い日前日に金策がつかなくなったと、先延ばしにされるケースがありました。
このケースでは契約内容通りに履行することが当然で、そもそもトラブルを超えた問題に発展しそうなので、国民生活センターは、このようにアドバイスしています。
「買取代金の支払いがなされるまで、クルマおよび移転登録書類などの引き渡しを延期することも一法です」
車両売買の業界団体「一般社団法人日本自動車購入協会」が、売買契約のモデルとなる契約書約款をオンラインでも公表しています。あらかじめ目を通して、契約書に慣れておくことで、契約書の目の付け所を覚えておくことができるかもしれません。
ちなみに、この売買契約モデルでは「売却するクルマを事業者へ引き渡した翌日まではキャンセル料を払うことなく解約できる」となっています。
国民生活センターは「少しでも不安があったら早めに相談を」と呼び掛けています。
【了】
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
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