だから日本は「ローカル線」になった 急成長する世界の物流に引き離された現実 国の返り咲きプランとは?

世界5位だったのに…30年間で大転落した日本の港

 日本で作られた2万4000TEUの巨大コンテナ船は、欧州-東アジアを結ぶ航路に就航し、日本の港には立ち寄りません。

「え?日本は貿易大国では?」「日本の貨物は減ったの?」と思われたかもしれませんが、どちらも違います。

 日本の貨物は増えてはいるのですが、中国・シンガポール・韓国・ベトナム・タイなど東アジアの貨物量が急成長して日本は追い越されたのです。神戸港が1990年には 260万TEUで世界5位だったのが、2022年には280万TEUに増えているものの、世界72位に転落します。日本最大の東京港は46位で東アジア各港の下位になります。

 今や日本の港に出入りするコンテナの多数は、中国や釜山などの海外ハブ港でトランシップされています。鉄道で言えば新幹線からローカル線に乗り換えて終着駅に着くようなイメージです。乗り換えがあれば、時間もお金も余分にかかるので、輸出入する国内企業にとっては不利になります。

なぜ日本の港はローカル線になったのか? 世界が進めてきたコト

 日本の港は海外に比べなぜ大きく差を付けられたのでしょう。

 米国は、コンテナを2段重ねで輸送するダブルスタック鉄道輸送の効率がとても良く、1990年に国際輸送と合わせて国内輸送もコンテナ化して鉄道輸送に集約、効率化しました。規制緩和で輸送モード間の提携が進み運賃も下がり、インターモーダル輸送は6倍に成長しました。

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ロサンゼルス港。コロナ禍でコンテナが停滞していた2022年6月頃(乗りものニュース編集部撮影)。

 欧州は、オランダのロッテルダム港(1446万TEU)、アントワープ港(1350万TEU)、ドイツのハンブルク港(826万TEU)が競い合い巨額な投資を続けています。フィーダー船に加え、鉄道・艀・トラックによるネットワークが組まれ、英国・北欧・南欧・東欧から広く貨物を集めています。

 中国は物流で産業を育成する国家戦略を立て、2001年にWTOへ加盟し貿易を急拡大。海運事業を育成し港湾・鉄道・コンテナターミナルに莫大な投資を続け、2013年に海運と鉄道を融合させ欧州・アジアを中国経由で結ぶ「一帯一路」構想を発表しました。上海港は4703万TEUで世界一となり、欧州と結ぶ鉄道コンテナ輸送「中欧班列」も急成長しています。

 シンガポールと韓国は東アジア各国の貿易で行き交うコンテナを積み替えるハブ港を目指し港湾に巨額な投資を続けています。船が巨大化するのと同様に、港も巨大化しコスト競争力をつけたのです。シンガポール港は世界2位の3747万TEU、釜山港は7位で2271万TEUです。また両国は港湾運営のシステム化、自動化、脱炭素化を進め海外にも進出しています。

【え…】これが日本が「物流のローカル線化」した理由です(画像)

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