「地上で破壊」されるロシアの超高価ステルス機 空自も“明日は我が身”? 攻撃し放題の現状

参考は台湾空軍のやり方か

 筆者(関 賢太郎:航空軍事評論家)が参考になると考えるのが、台湾空軍の方策です。台湾は日本とは段違いの高確率で先制攻撃を受けると考えられているため、ひとつの解になるでしょう。

 まずは、戦闘機を含む作戦機を分散配置し、頻繁に移動することです。台湾空軍では緊急時に高速道路を滑走路として運用することが可能であり、戦闘機を所定の空軍基地から移動させることによって地上撃破されるリスクを下げています。

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三沢基地のエプロンにズラリと並んだ航空自衛隊のF-35A戦闘機。(画像:航空自衛隊)。

 日本には滑走路として使うことができる高速道路こそありませんが、その代わりに数千kmにわたる日本列島の各地に戦闘機の離着陸が可能な飛行場が多数あります。平時から臨時展開の訓練をしておくことで、全滅するリスクを防ぐことができます。

 第2に「掩体」を増やすことです。掩体は強化コンクリート製の格納庫であり、戦闘機1機に対し1個設けることで、自爆型ドローンは完全に無力化することができます。また弾道ミサイルや巡航ミサイルであっても、貫通力に優れた「バンカーバスター」と呼ばれるものの直撃以外は防いでくれるため、ミサイル一発で複数機を破壊されることがなくなります。最悪の場合でも、1発で1機の損傷まで攻撃効率を激減させることができます。

 台湾空軍の航空基地をGoogleマップなどで調べると、極めて多くの掩体が航空基地ごとに設けられ、日本とは逆に列線運用を行っていないことがわかります。

 このように、分散運用や掩体整備を行わない限り、何十年・何兆円もかけて揃えた航空戦力が、たった数分の攻撃で水泡に帰すでしょう。早急な対策が必要なのは言うまでもありません。

【了】

【これなら完璧!】破壊するのは至難 これが北欧にある洞窟格納庫です(写真)

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Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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コメント

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1件のコメント

  1. 日本はずっと平和ボケ政権だからね……。
    中国の軍艦のことを、戦艦とよぶような軍事音痴政治家を保守政治家と賞賛する人たちがささえている。
    「即応予備自衛官を船に乗せ尖閣をまもらせます!」なんて人もいたよね(すでに暗殺されたが)
    大震災のニュースをみて、即応予備自衛官の存在をしったのだろうけど、即応予備自衛官は陸自の制度。船に無理やり乗せても邪魔でしかない。