新型ジープ?「いいえトラックです」 屋根も窓ガラスもドアも無ぇ!? 使い方を教えてくれた怪しいマスク男

アフリカで戦う特殊部隊が愛用か?

「ユーロサトリ2024」には、防衛企業だけでなく、フランス陸軍も大規模なブースを構えており、現用兵器を並べて現役の隊員がその性能や任務について説明していました。

 そのブースの一角には、先ほど見かけたスカニアの新型トラックとよく似たオープントップの車両が展示されているではありませんか。ハナシを聞こうと近づくと、車両の傍らに立つ隊員はなぜか目から下を覆うフェイスマスクをしています。しかも、よく見ると姓名階級を示す名札どころか、所属部隊を示すワッペンも付けていません。

 ただ、話しかけてみると案外フレンドリー。その隊員は、あっさりと自身が特殊部隊の一員であることを認め、脇にあったオープントップの車両についても詳しく解説してくれました。

 隊員によれば、これらオープントップ式の車両はアフリカ地域で使われており、そこで行われるミッションの多くは対テロ作戦などといった正規軍以外が相手の活動が多いため、このような軽量で空輸も可能で機動力のある車両が適しているとのことでした。

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スカニアトラックの民間型の写真。新型軍用トラックのシャシーやドライブトレインは、この市販車両と7割が共通とのこと(布留川 司撮影)。

 アフリカ地域には、かつてフランスの植民地であった国が多く、それらは現在でもフランスと人的・経済的な交流やあるほか、フランス企業がその利権に深く関与していることも多々あります。そのため、フランスは西アフリカのセネガルとコートジボワール、そして東アフリカのジブチに計4か所の軍事基地を持っており、自軍を常駐させています。

 これら拠点を使った活動をフランス軍はOPEX(対外作戦)と呼んでおり、この地域でのテロや武装勢力との小競り合いに対しては、たびたび武力介入まで行っているほどです。

 先に紹介したスカニアの新型軍用トラックはまだ配備される段階にはないものの、その用途は恐らくはこのようなアフリカ地域での軍事作戦だと思われます。

 見慣れないトラックを通じてフランスの外交・安全保障政策が見えてきたのは意外でしたが、わざわざ新規に新しい装備品を開発しているというのは、それだけフランスと軍がアフリカ地域に対する関与について真剣に取り組んでいることの表われだともいえるでしょう。

【了】

【6輪ランクル!?】仏特殊部隊が使用! スカニアとトヨタの軍用トラックをイッキ見(写真)

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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