「オイ違う車両挟まってるぞ」明らかに取って付けた扉… なぜ国鉄・JRは一時期“魔改造電車”ばかりだったの?
見た目が明らかに違う「化けサロ」
このほか他区分から近郊形電車に転用された例としては、特急形電車のグリーン車を近郊形電車のグリーン車に改造した車両も存在しました。
古くは昭和40-50年代に、153系急行形電車から113系近郊形電車のグリーン車への転用が見られました。その後、この際に登場したグリーン車両であるサロ110形が老朽化したため、上越新幹線開業で余った181系特急形電車のグリーン車を、113系のグリーン車へと改造することを計画。ドアを増設したうえでサロ110形300番台に編入して、1982(昭和57)年から東海道線で使用を開始しました。
その後は181系だけでなく183系・485系・489系といった特急用電車から改造転用が続き、サロ110形350 番台・1300番台・1350番台などが誕生。東海道線・総武快速線・横須賀線などで用いられました。これらは、塗装こそ113系に準じていましたが、卵型の車体断面や冷房装置、窓形状は特急形電車の外観そのままだったので、明らかに「異系列の車両」が編成に挟まっていることがわかりました。
他にも、急行形電車から転用されたグリーン車もありました。特に変わっていたのは、グリーン車ではなく普通車のサハ165を改造したサロ110形500番台でした。ややこしいことに、165系のグリーン車を転用したサロ110形400番台なる車両もありました。
113系の改造グリーン車は「化けサロ」と呼ばれてファンに親しまれていましたが、現在では全車廃車され、現存しません。
サービス改善を目的に国鉄が財政のなかで生み出した、他の区分から改造された近郊形電車。しかしその姿を残すのは413系のみとなりました。今後の末長い活躍を祈らずに入られません。
【了】
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれの自動車・鉄道系イラストレーター/ライター。雑誌、WEB媒体で連載を多く持つ。コピックマーカーで描くアナログイラストを得意とする。クルマは商用車や実用車、鉄道ではナローゲージや貨物、通勤電車、路面電車、地方私鉄などを好む。
コメント