超長射程がウリ! 噂のみだった「超巨大ミサイル」米軍主催の大規模演習でデビュー 対中国の切り札か?
進化し続ける中国への対抗か
またSM-6はデジタルネットワークを活用したCEC(共同交戦能力)と呼ばれるコンセプトに準じた能力を有しているため、もしAIM-174Bも同等であるなら、たとえばイージス艦や空中早期警戒機(E-2D)から得られた情報を活かして、発射母機となる「スーパーホーネット」のレーダー探知距離外から射撃を行うことも可能であるかもしれません。
アメリカ軍戦闘機が多用する従来の空対空ミサイルAIM-120「アムラーム」は、可能な限り小型化しエネルギー効率を高めることで射程を伸ばしてきましたが、AIM-174Bは物理的に巨大で、エネルギーそのものを大量に搭載することで射程を伸ばすという全く逆のアプローチである点が大きな特徴となっています。
AIM-120は実績のある極めて優秀な空対空ミサイルですが、近年では特に中国の戦闘機搭載用空対空ミサイルが大型化・長射程化するなか、射程の面で不利になる可能性があることがかねがね指摘されており、AIM-120を上回る飛距離を持つ空対空ミサイルの開発が急務となっていました。
そのため2024年6月現在、新型の空対空ミサイルAIM-260「JATM」を開発中です。ただ、AIM-260の想定されるサイズはAIM-174Bより小さいため、やはりAIM-174Bの巨大さは破格と言えます。
AIM-174BはおそらくAIM-120の後継という位置づけではないでしょう。AIM-174Bがどのようなコンセプトで開発されているのか、今後の公式発表に期待したいところです。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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