羽田じゃない方の都内空港で続く”異常事態”…「事故の対策です」←本当に解決になってます?
障害物撤去も「再延伸」ならず のちに事故も
調布空港の着陸進入の支障となっていた焼却炉は、老朽化のため廃止となり、2008年には煙突も撤去されたものの、滑走路は元の1000mに復元されることはありませんでした。
なぜ、元に戻さなかったのか。滑走路の再延長を妨げたのは供用規定です。これは、調布飛行場が国から都へ移管になった際に、地元3市(三鷹市、府中市、調布市)が規模拡大を阻止する目的で、東京都と使用の制限を定めた協定を結んでいたからです。本来なら、社会インフラの整備と拡充は行政が担うべき重要な役割のはずですから、この協定は非常識で無責任なものだと筆者(中島二郎:航空アナリスト)は考えています。
そのようななか2015年7月26日、調布空港から離陸した小型機が、その直後に住宅地へと墜落する事故が発生します。パイロット、乗客1名のほか、機体が落下した住宅では火災が発生し、残された犬の救助に向かって焼死した住民1名が犠牲になったのです。
事故を起こしたフライトは、夏の暑い日に最大離陸重量に近い重さで短い滑走路から離陸することが求められていました。これは航空機にとっては過酷な条件です。映像を見ると事故機は滑走路端ぎりぎりまで滑走してやっと離陸している様子がうかがえます。
航空機の性能は気温に大きく左右されます。暑い日は空気密度の減少により離陸速度は普段より速くなりますが、エンジンの出力は逆に減少してしまうのです。事故機は、取り込む空気を圧縮し空気密度を向上させる「タービン過給機」を装備していましたが、それでも高温時に離陸性能が低下することに変わりはありません。十分な速度が得られないまま離陸したため、離陸直後に失速して墜落したと考えられます。
事故後、専門家の多くは旧来の滑走路全長を使用して離陸することが可能であったならば事故は防げた可能性を指摘しました。少しでも長い滑走路があれば十分に安全な速度まで加速してから離陸することが可能だからです。つまり、滑走路を元の1000mに戻していたら事故は防げた可能性が示唆されたといえるでしょう。
いつも興味深いお話、楽しみに読んでいます。
記事の中で2015年の調布飛行場での事故が取り上げられています。その中で「機体が落下した住宅では火災が発生し、残された犬の救助に向かって焼死した住民1名と搭乗者1名の2名が犠牲になったのです。」と、死者数を2人と書いています。
航空事故調査報告書(AA2017-4、個人所属パイパー式PA-46-350P型JA4060墜落)の要旨、概要には次のように記載されています。
「同機には、機長ほか同乗者4名の計5名が搭乗していたが、機長及び同乗者1名が死亡し、同乗者3名が重傷を負った。また、住民1名が死亡し、住民2名が軽傷を負った。」
死者数は3人だと思います。