『ガンダム』はなぜ“空母”が少ない? MSばかり戦うなら「たくさん艦載すりゃいいじゃん」そうでもないワケ
『ガンダム』で空母より戦艦能力が重視されるワケ
一方『ガンダム』の舞台となる宇宙世紀では、「ムサイ」や「チベ」、改装された「サラミス」などの巡洋艦クラスもMS搭載能力を持つ「航空巡洋艦」ですし、「ホワイトベース」や「グワジン」など主力艦クラスも砲撃力と艦載機運用能力を持つ「航空戦艦」です。
空母と称されるのは、ジオン軍のドロス級と、地球連邦軍のトラファルガ級です。ドロス級は全長495mと作中最大の大型艦艇で、MSの搭載機数は182機。ただし、2連装メガ粒子砲8基装備と砲撃力もあるため宇宙要塞というべき艦艇で、ごく少数だけでした。
トラファルガ級はマゼラン級戦艦の両側に、MS格納庫を備えたような艦形で、MSの搭載数は60機。こちらも主砲があり、ある程度の砲撃力がありましたが量産はされていないようで、本編への登場もありませんでした。
連邦軍には、これ以外にコロンブス級宇宙輸送艦があり、こちらはMS50機を運搬可能(運用する場合は、より少数搭載)と「護衛空母」のようですが、後方での運用が多く、主力扱いではありません。
つまり空母より航空戦艦や航空巡洋艦の方が有利となる理由があるのでしょう。これは「ミノフスキー粒子」の存在によるものと思われます。これを散布することで、レーダーによる遠距離兵器を無力化し、目視での戦闘を強いることができます。
この結果、宇宙世紀での戦闘は、現代と比較しても非常に近距離となります。ルウム戦役での両軍艦艇の戦闘距離は2万8000mといわれていますし、MS搭載のセンサー有効半径は数千m程度です。つまり、数千mレベルの近距離で発生するMS戦闘を、宇宙艦艇が数万mから支援砲撃する戦闘場面になっているものと思われます。
MSの持ち味は、「AMBAC」と呼ばれる手足を使った機動制御システムによる柔軟な運動性能と、近接してのビームサーベルやヒートホークによる白兵戦攻撃です。センサーが機能しない以上、相手機に優位なポジションを占められる三次元の運動性と、近接時に白兵戦武器で相手を殴れる性能が、ミノフスキー粒子下での戦闘には必要とされ、宇宙戦闘機よりもそこが優れているわけです。
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