「世界最強の重巡洋艦」どうしたら倒せる? デカい・速い・厚い・重武装! ただ残念な時期に登場?

「最強の戦艦」は議論が分かれますが、「最強の重巡洋艦」はまず議論が分かれません。それはアメリカのデモイン級重巡洋艦です。そして史上最後の重巡でもありました。

初期の巡洋戦艦よりデカい!

 防御についても、垂直装甲が102~152mm(最大254mm説もあり)、水平装甲も64mm+25mm、砲塔前盾が203mm、砲塔天蓋が102mmと、非常に重防御でした。ちなみに砲塔防御を25mmに留めて、弾火薬庫へ重点的に装甲を施した日本の利根型でも、垂直装甲は最大145mmです。

 通常の戦闘距離で他国の重巡と交戦した場合、デモイン級は敵弾の大半を分厚い装甲で防ぎつつ、圧倒的射撃速度で203mm砲弾を浴びせたと思われます。最高速度は33ノット(約61.1km/h)と平均以上。航続距離は15ノット(27.8km/h)で1万500海里(約1万9446km)と非常に長く、こちらも世界一。機関性能も安定しており、31ノット(約57.4km/h)で40時間半の高速航行を行ったこともありました。

 これほどの重量砲塔と重防御のため、船体は巨大であり、全長は218.39m、全幅は22.96m、基準排水量は1万7273トンに及びました。これも世界一であり、例えば世界初の巡洋戦艦であるイギリスの「インヴィンジブル」級は全長172.8m、全幅22.1m、常備排水量1万7290トン、舷側装甲152mm、水平装甲64mmでしたから、初期の巡洋戦艦をしのぐ巨艦といえます。

 他国の重巡クラスでデモイン級に打ち勝てるとしたら、日本の重巡が長射程の酸素魚雷を命中させるか、ドイツの28cm砲を搭載した「ドイッチュラント」級装甲艦が3万6475mの長射程を活かして、先制砲撃を命中させるくらいでしょうか。

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ノーフォークの港に停泊する、デモイン級の3番艦「ニューポート・ニューズ」(右)。左は誘導ミサイル巡洋艦「USSボストン」(画像:アメリカ海軍)。

 最強の重巡といってよいデモイン級でしたが、就役した時には第二次世界大戦も終了し、巡洋艦同士が砲撃戦をする時代ではありませんでした。

 建造数は計画変更されて3隻に留まり、3番艦「ニューポート・ニューズ」がベトナム戦争で陸上への艦砲射撃を行ったくらいでした。同艦は1975(昭和50)年に退役し、重巡の歴史は幕を閉じます。なお、2番艦「セーラム」が博物館船となり、マサチューセッツ州クインシーで今も公開されています。

【了】

【今でも見られる!】「世界最強」デモイン級の2番艦(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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