「世界最強の重巡洋艦」どうしたら倒せる? デカい・速い・厚い・重武装! ただ残念な時期に登場?

これが世界最強の理由だ

 最大の特徴は新型の203mm55口径Mk.16主砲でした。これは従来型の203mm砲が毎分3~4発の発射速度だったのに対して、自動装填装置とケース入り装薬を実用化することで、毎分10発もの発射速度を実現したのです。この主砲を3連装で3基9門搭載したので、2秒で3発の203mm砲弾を発射できました。

 重巡203mm砲の毎分発射速度は、日本が3~5発、イギリスが3~6発、フランスが4~5発、イタリアが1.5~3.8発、ドイツが4~5発でしたから、圧倒的な発射速度でした。砲弾の装填が全自動化されただけでなく、仰角-5度から41度までのどの角度でも装填可能であり、信管調定機構も備えていたため、限定的な対空射撃まで可能としていました。

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地中海を行く「デモイン」。203mm55口径Mk.16主砲が右舷を向いている(画像:アメリカ海軍)。

 さらに、使用する砲弾重量は152kg。これは日本の110~125.85kg、イギリスの116kg、フランスの123.1kg、イタリアの110.6~125.3kg、ドイツの122kgより重く、威力で大きく勝っていました。従来型203mm砲弾が、射程距離15kmで152mmの貫通力に対して、152kgの砲弾は203mmの貫通力があったのです。30年前の第一次世界大戦でドイツが使った305mm50口径砲は、同じ15kmの貫通力が229mmですから、過去の戦艦主砲に近い貫通力があったわけです。

 ただ、砲の最大射程だけは2万7480mと短く、他国より2000~6000m程度劣っていました。なお、高発射速度を実現させるために、砲身のあいだにスイングアームや排莢装置を備えたため、砲塔が大型化し、砲塔重量が458トンになりました。前述したドイツ305mm連装砲は重量543トンですから、一昔前の戦艦主砲塔に近い重量を持つ砲塔といえます。

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